楽天の後任監督候補に梨田、与田氏ら…就任1年で大久保監督が辞意

[ 2015年8月30日 05:30 ]

楽天の後任監督候補に浮上した梨田昌孝氏(左)と与田剛氏

 楽天の大久保博元監督(48)が今季限りで辞任する意思を固めたことが29日、関係者への取材で分かった。成績不振の責任を取る意向で、球団には今後正式に辞意を伝える。後任の監督候補には近鉄で2001年に、日本ハムで09年にリーグ優勝に導いた梨田昌孝氏(62)や09年の第2回WBCで日本代表投手コーチを務めた与田剛氏(49)の名前が挙がり、橋上秀樹ヘッドコーチ(49)が内部昇格する可能性もある。

 西武戦の試合前、コボスタ宮城の室内練習場で急きょ取材に応じた大久保監督は険しい表情で話した。「成績が悪ければ現場で指揮を執っている者が責任を取るという覚悟でやっている。球団とはしかるべきタイミングが来れば話をする」。監督辞任を明言こそしなかったが、成績不振の責任を取る意思は固かった。

 大久保監督は12年に1軍打撃コーチとして楽天に入団。2軍監督、監督代行を経て今季、1年契約で監督に就任した。昨季の最下位からの巻き返しを期したが、前半戦は銀次、藤田、嶋ら主力に故障者が続出。外国人野手の不振もあって得点力不足に陥り、勝率5割を大きく下回るBクラスに低迷している。

 さらに先月30日には1軍打撃コーチを務めていた田代富雄氏(61)が退団。打順や選手の起用法など、三木谷浩史オーナー(50)の現場介入が表面化。田代氏の退団以降、チームは混乱し、今季2度目の8連敗を喫するなど7勝16敗と急失速。クライマックス・シリーズ(CS)進出に向け、上位浮上を狙うどころか、前日28日に自力でのCS進出の可能性が消滅した。今後の球団との話し合いで正式に辞意を伝えるが「残り30試合あるので全力で戦う」と話しており、今季いっぱいは指揮を執り続ける意向だ。

 球団はこれを受け、後任探しに着手する。次期監督として有力候補に挙がるのが梨田氏だ。梨田氏は01年に近鉄を、09年には日本ハムをリーグ優勝に導いている。特に近鉄では前年の最下位から、リーグ制覇を果たしており、球団はその手腕を高く評価。球界再編を経て誕生した楽天には牧田をはじめ、近鉄出身の選手、関係者も多い。

 そのほか、中日などで活躍し、09年の第2回WBCで日本代表の投手コーチを務めた与田氏も候補として挙がる。同氏は同大会でブルペン担当コーチとしてダルビッシュや涌井らを指導し、日本を2大会連続の世界一に導いた。監督経験こそないが、指導者としての評価は高い。また、橋上ヘッドコーチが内部昇格する可能性もある。

 13年の球団初の日本一から一転し、2年連続で監督が交代する異常事態の楽天。球団は万全の体制で来季に挑むため、早急に監督人事を進める。

 ◆大久保 博元(おおくぼ・ひろもと)1967年(昭42)2月1日、茨城県生まれの48歳。水戸商から84年ドラフト1位で西武入団。92年途中に巨人入り。95年に引退。通算303試合、打率・249、41本塁打、100打点、1盗塁。タレント活動などを経て、08年から西武打撃コーチ、編成部、2軍打撃コーチを務め、10年途中に退団。12年に楽天打撃コーチ、13年に2軍監督に就任。昨季は星野監督の休養中に17試合で監督代行を務め、今季から監督。1メートル81、97キロ。右投げ右打ち。

 ◆梨田 昌孝(なしだ・まさたか)1953年(昭28)8月4日、島根県生まれの62歳。浜田高から71年ドラフト2位で近鉄入団。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞4度受賞し、88年に引退。通算1323試合、打率.254、113本塁打、439打点、41盗塁。近鉄で00~04年に監督を務め01年にリーグ優勝。日本ハムで08~11年に監督を務め09年にリーグ優勝。監督通算1263試合、645勝594敗24分け、勝率.521。13年WBCでは野手総合コーチを務めた。

 ◆与田 剛(よだ・つよし)1965年(昭40)12月4日、千葉県生まれの49歳。木更津中央から亜大、NTT東京を経て、89年ドラフト1位で中日入団。1年目の90年に抑え投手として31セーブをマーク。新人王、最優秀救援投手のタイトルを獲得した。96年シーズン途中にトレードでロッテに移籍。その後は日本ハム、阪神に所属も、96~98年に1軍登板はなかった。00年に現役引退。通算成績は148試合で8勝19敗59セーブ、防御率4.58。09年WBCで侍ジャパン投手コーチ。

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