“魔の2球”で阪神逆転負け メッセ「8回の失投が悔しい」

[ 2015年8月30日 05:30 ]

<神・ヤ>8回、メッセンジャーは逆転を許し、肩を落としてマウンドを降りる

セ・リーグ 阪神4-8ヤクルト

(8月29日 甲子園)
 阪神は29日のヤクルト戦(甲子園)に4―8と惨敗。先発のランディ・メッセンジャー投手(34)が8回に突如として崩れ、7回1/3を4失点でリーグワーストタイの11敗目を喫した。勝っていればヤクルトの自力優勝を消滅させられた一戦。引導を渡せず、独走にも失敗した。

 1点リードで迎えた8回。球場内は、重たい空気に支配されていた。小雨模様が生み出す湿気も伴い、まさに息苦しい展開。きょうは、この1点で…。スタンドの虎党、そして阪神ベンチの思惑は、わずか2球で、もろくも崩れ去った。

 「(先発メッセンジャーは)7回までの球数、内容がともによかったから行かせたけど。ピンチになってからの入りがね…。球が高かった。(配球が単調になったか、の問いに)その通りだな」

 和田監督も思わぬ誤算に表情をゆがめる。メッセンジャーは7回まで、わずか3安打1失点。球数も7回終了時点で99球と完投ペースの快投を続けていた。その歯車が8回、突如として狂った。

 「ランディの時はなかなか点が取れなくて、あの1点で逃げ切るのはキツイけど、きょうはあの1点で逃げ切らないといけないゲームだった」

 1死二塁。勝利を渇望するあまり投げ急いでしまったのか。川端に対して投じた初球の直球は、外角高めに浮いた。中越え同点二塁打を浴び、なおも1死二塁。続く山田にも初球の直球が真ん中へ。右中間三塁打を打たれ、勝ち越しを許した。ともに初球を打たれた2球で、勝敗が決した。

 降板直後、ベンチ奥には頭を抱えるメッセンジャーの姿があった。試合後は淡々と、「8回の失投。それが悔しい。7回までも、自分では(状態が)良い感じではなかった。ただ球数は問題無かったし疲れも無かった。8回の失投が悔しい。それだけだ」と言葉を絞り出した。9勝目を目前で逃し、能見と並んでリーグワーストタイとなる11敗目。「魔の2球」が無ければ…。だが、それは勝負の世界では禁句だ。

 「(後の投手が)1、2点でしのげれば、その後に2回残っていたからね。可能性があったんだけど」と指揮官。メッセンジャーの後を受けた福原も相手打線の勢いを止められず、8回は計5失点。9回には4番手・二神が山田に2ランを浴びて息の根を止められた。

 この日の試合に勝てばヤクルトの自力優勝を消滅させられた。それが一転、わずか1敗でヤクルト、巨人に2ゲーム差に迫られる始末。まさに勝てば天国、負ければ地獄―。そんな展開でモノを言うのは、気持ちの強さだ。9回に取り返した2点は猛虎ナインの「気持ち」の結晶と思いたい。「何点差が開こうが“何とか”という気持ちは選手にはある」と指揮官。頂点のみを見据え、一戦必勝の日々を戦っていく。(惟任 貴信)

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2015年8月30日のニュース