梅野 意地の一発も勝利ならず「敗れたことが悔しい」

[ 2015年8月27日 09:20 ]

<広・神>9回1死一塁、梅野は左越え2ラン

セ・リーグ 阪神2-4広島

(8月26日 マツダ)
 確信をもった一発。とらえた瞬間、目線は打球を追うことなく、下を向いていた。試合を簡単には終わらせない―。そんな気迫がこもった阪神・梅野の意地のアーチだった。

 8回まで広島先発・ジョンソンを打ち崩せず無得点と停滞していたムードをぶち破る。7回に代打出場して迎えた2打席目だ。9回1死一塁でカウント2―2から中崎のスライダーに反応。外角高めをとらえた打球は高々と舞い上がり左翼スタンド2階席に着弾。4点のビハインドを一気に2に縮め、球場の雰囲気を一変させた。

 「打ったのは良かったけど、それよりもチームの勝利が1番大事なのでね」

 今季は捕手としてリード面で伸び悩み、初めて2軍調整を経験。それだけに“捕手としての自分”というものを常に強く意識している。それでもこの日見せたアーチを含め、長打力もやはり持ち味だ。そんな「打者」としての梅野は長年、同じ相棒とともに野球人生を歩んできている。

 「大学2年の時から、ずっとバットは変わってなくて、先端に重心があるのは自分の中で振りやすい。良い感触はずっと変わってない」

 大学入学時からお世話になっていたメーカーに頼み込んで作ってもらったバット。オリックス、ソフトバンクなどで活躍したホセ・オーティズのモデルで「大学では誰も使ってないタイプで、そういうのを使ってみたかった」と、好奇心半分で選んだものが大当たり。今は3種類用意し、その日の感触で戦いに臨む1本を選ぶのが日課だ。そんな慣れ親しんだ相棒が、ポテンシャルを最大限に引き出してくれている。

 「敗れたことが悔しい。チームの勝利が1番大事だし、あしたにつなげて行ければ」

 次こそは自身のリードで、バットで、会心の勝利をつかんで笑ってみせる。(久林 幸平)

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2015年8月27日のニュース