松坂に並んだ!西武・高橋光 高卒新人4戦目で初完封

[ 2015年8月24日 05:30 ]

<西・ロ>チームメートと勝利を喜び合う高橋光(中央)

パ・リーグ 西武7-0ロッテ

(8月23日 西武D)
 18歳が大仕事をやってのけた。西武のルーキー、高橋光成投手(18)が23日、ロッテを6安打に抑え、プロ初完封勝利で今季3勝目をマークした。高卒新人の完封勝利はドラフト制後20人目。西武では1999年の松坂以来でプロ4試合目での達成も同投手に並ぶスピード記録だ。黄金ルーキーがクライマックス・シリーズ(CS)進出を激しく争うロッテを封じ込め、チームは3位に再浮上した。

 折れそうになる心をファンの声援が支えてくれた。9回2死一、二塁。初完封まであと1球。高橋光が投じた127球目、147キロ直球は甘く入ったが、気迫で押し込んだ。代打・福浦を二ゴロに抑え右拳を握った。吠えた。マウンドにできた勝利の輪の中心で18歳の笑顔がはじけた。

 「9回は大歓声にびっくりしました。ピンチでも思い切って腕を振ったことが、ゼロにつながったと思います」

 夏休み期間の8月では最後の本拠地試合。ピンチでも「自分の持ち味は投げっぷりの良さ」と自分に言い聞かせ、4回1死一、二塁では井口をフォーク、クルーズを直球で斬った。最速は148キロ。フォークも打者の手前で鋭く落ちた。大量援護を受けリズムも抜群で三塁を踏ませなかった。

 過去3試合で最長イニングは5回1/3。5回4失点ながら2勝目を挙げた前回16日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では「異変」を感じた。追い込んで得意のフォークを投じても鶴岡、今宮ら下位打線の打者がピクリともしなかった。「癖が出ると球数も増え、5、6回で降りることになる」。登板2日前だった21日のブルペン投球。これまでのように漠然とではなく、フォームを確認しながら丁寧に投げた。反省し、対策を練り、そして結果につなげた。

 西武プリンスドームは両親と小学1年で初めてプロ野球を観戦した思い出の球場だ。プロ初登板では黒星も、2度目で会心の白星を挙げた。奮起する理由もある。母校の前橋育英を運営する群馬育英学園が今年の年間シートを購入。「地元からも応援してもらえる選手になりたい」と話すように関係者の応援は力になっている。

 夏の甲子園優勝は2年前の8月22日。日付は1日違いのプロ初完封となった。熱戦続きだった今夏の甲子園からは刺激を受けた。4強入りした関東第一で1学年下のオコエとは練習試合で昨年対戦したことがあり「普通の三塁ゴロを内野安打にされたことがある」と苦笑いで振り返る。そのオコエは今秋ドラフトの上位候補で「対戦が楽しみです」と話した。

 球団で高卒新人の完封勝利は99年の松坂以来。プロ4試合目での達成も偉大な先輩と肩を並べた。しかし、思い出に残るシーンがすぐには浮かばなかったようで「周りに聞く限りでは凄い投手…」と高橋光。ロッテを叩きチームを3位に押し上げた剛腕も、マウンドを下りれば普通の18歳だ。 (山田 忠範)

 ▼ロッテ・伊東監督 ボールが微妙に動いていた。最後まで軌道がつかめなかった。

 ▼ロッテ・清田 高校卒1年目とは思えない。大きなフォームで向かってくる感じ。どんどん投げ込んでくる。それについていってしまった。

 ▼ロッテ・荻野 直球に速いのと動いてるのがあって(バットの)芯を外された。

 ▼ロッテ・クルーズ 9回をゼロで抑えた投手なんだからいいに決まってる。

 ▼ロッテ・デスパイネ 球は動いている印象はないが、テンポがよかった。

 ≪12年ソフトバンク武田以来≫高橋光(西)がプロ初完封で3勝目。高卒新人の完封勝利は12年9月25日オリックス戦の武田(ソ)以来、ドラフト制後20人目。西武では99年4月27日ロッテ戦の松坂に次いで16年ぶり2人目になる。高橋光はこの日が4試合目の登板。ドラフト制後、高卒新人の初完封がデビュー試合はノーヒットノーランを達成した87年近藤(中)ら、3人いるが、4試合目までに記録したのは10年秋山(神=4試合目)以来だ。チームでは松坂も4試合目で高橋光は同じ登板数でマークした。

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