次の100年へ…仙台育英の奮闘は東北球児たちの起爆剤になる

[ 2015年8月21日 10:25 ]

<仙台育英・東海大相模>全国制覇を決めマウンドで喜ぶ東海大相模ナインを前に、ガックリと整列に向かう佐藤世(右から3人目)ら仙台育英ナイン

第97回全国高校野球選手権大会 東海大相模10-6仙台育英

(8月20日 甲子園)
 仙台育英の選手たちに重い希望を背負わせたのかもしれない。高校野球100年を迎えた今年、東北に深紅の大旗をの願いは、あまりにも大きかった。組み合わせも3回戦で岩手の花巻東を破り、準々決勝では秋田商を下した。そのたびに、相手から「優勝してくれ」の声が届いた。準決勝ではレジェンド校の早実を一蹴。佐々木順一朗監督は「(優勝への)うねりを感じる」と話した。

 しかし、あと1イニング。大旗は東海大相模に渡り、春夏通じて東北勢11度目の挑戦はまたも夢に終わった。準優勝には旗がない。誇らしげに行進する東海大相模の後ろを、銀の盾を胸に佐々木柊野(とおや)主将を先頭に場内を一周する。そんな18人に送られるファンの拍手は心に響く。

 屈しない、諦めない。佐藤将太が粘って粘って走者一掃の同点三塁打。右翼の佐々木柊はフェンスに激突しながらもボールは離さない。4点をリードされながら、絶対エース小笠原慎之介から6点を奪い追いつく姿に心が震える。クライマックスに向け、東北人の願いはまさに“うねり”になっていた。

 「球場のファンも味方してくれて、優勝していいよと言ってくれているようだった。ロープを引けば手が届いたのに、そのロープを手放した」そんな表現で佐々木監督は無念の思いを口にした。

 100年。流れは来ている。東北の球児たちに、仙台育英の準優勝は必ず起爆剤になる。(落合紳哉特別編集委員)

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2015年8月21日のニュース