天国にV届けた…門馬監督、貢魂継承 9回勝ち越しも「終わるな!」

[ 2015年8月21日 05:30 ]

<仙台育英x東海大相模>ウイニングボールを手にナインから胴上げされる門馬監督

第97回全国高校野球選手権大会 東海大相模10-6仙台育英

(8月20日 甲子園)
 右手にウイニングボールを握りしめながら、東海大相模・門馬敬治監督は宙を舞った。神奈川大会からの連勝数と同じ12回。師と仰ぐ故原貢氏が監督を務めた1970年以来2度目の優勝。くしくも45年前と同じ8月20日、「10―6」というスコアまで同じだった。

 「貢監督にいい報告ができる。ずっと一緒に戦っているような気がして。親父さんも褒めてくれると思います。(優勝旗を)すぐに親父さんの所(墓)に見せに行きたい」。涙があふれた。

 昨年5月に死去した原氏から継承した「アグレッシブ・ベースボール」。次の1点を貪欲に求め続ける野球が東海大相模のスタイルであり「縦じまのプライド」である。原氏がいつも口にしていた「攻撃は最大の防御」という言葉を引き継ぎ、同点の9回に原イズムを体現する。先頭・小笠原の右中間ソロで勝ち越しに成功。しかし、直後に指揮官は声を上げた。「ここで終わるな!」。ナイン全員がうなずいた。

 1死二塁から3番・杉崎の遊撃後方に落ちる一打で1点を追加。さらに4番・豊田が左中間適時二塁打。極め付きは二塁走者・豊田の走塁だ。磯網の右翼への飛球でタッチアップ。右翼手の隙を突いて一気に本塁を陥れ「最高にアグレッシブにいけた」と胸を張り、この回一挙4得点で突き放した。3安打2打点と大活躍した杉崎は大会記録に並ぶ6二塁打をマーク。「監督さんから次の塁を狙う野球を教えられてきた結果です」と言った。攻め続ける姿勢が決勝の舞台でも発揮された。

 門馬監督は東海大コーチ時代に監督だった原氏を「一生超えられない存在」という。7月に学校内のグラウンド横に建てられた石碑を磨き、今大会に臨んだ。そして原氏が「育成功労賞」を受賞した100年の節目の大会で最高の結果を残した。00、11年にセンバツ優勝。夏もついに制覇した。「厳しい試合でした。けど勝てた。勝ったことが全てです」。また一歩、偉大な恩師に近づいた。(中村 文香)

 ≪夏優勝45年ぶりは最長ブランク≫東海大相模が1970年以来45年ぶり2度目、春夏通算4度目の優勝を飾った。夏の優勝2度は7位タイ(19校目)、春夏優勝4度は7位タイ(13校目)。夏の45年ぶり優勝は、中京大中京(1966→2009年)の43年ぶりを上回る最長ブランク優勝となった。

 ≪神奈川勢の優勝は17年ぶり≫神奈川勢としては1998年横浜以来、17年ぶり7度目の優勝(横浜2、東海大相模2、湘南1、法政二1、桐蔭学園1)。都道府県別では大阪12、愛知8に次ぎ、東京、兵庫、和歌山、広島と並び3位タイ。

 ▽東海大相模 1963年創立の私立校で、野球部も同年創部。70年夏に選手権大会初優勝。春の選抜大会は2000年と11年に制した。プロ野球選手を多数輩出し、巨人の原監督や菅野はOB。柔道、剣道も全国トップクラス。所在地は神奈川県相模原市南区相南3の33の1。大金真人校長。

続きを表示

この記事のフォト

2015年8月21日のニュース