早実2年生右腕、タカラジェンヌの姉に少し恩返し

[ 2015年8月21日 07:40 ]

<早実・仙台育英>3番手で登板した早実・吉野

 大舞台の中心に弟が立っている。19日に行われた第97回全国高校野球選手権大会、仙台育英との準決勝。応援席で、タカラジェンヌの姉は誇らしかった。この日だけは雪組の「彩波けいと」の顔から、早実・吉野星吾投手(2年)の姉に戻っていた。宝塚音楽学校の受験前にも、さりげなく気遣ってくれた弟に声援を送った。

 「よく投げました。私も、どこまでやれるか分かりませんが宝塚で頑張ろうという気持ちになれます。感無量です」

 出番は予想外に早く来た。エースの松本が序盤に崩れたからだ。7点ビハインドの6回から登板。2イニングを「流れを替えたい」と、腕を思い切り振って無失点に抑えた。17日まで宝塚大劇場で公演があった姉は「準決勝まで残ってくれたら見に行ける」と、心待ちにしていた。

 体には家族の愛情が詰まっている。今春、右肘のじん帯を損傷。学校での練習前には父・大成さん(52)がテーピングしてくれた。極端に硬い体はバレエを習っていた姉から柔軟体操を習い、改善した。家族に少し恩返しができた2年生右腕は「投手陣を引っ張って、もう一度帰ってきます」と誓った。姉と同じように、一層の高みを目指す。(水口 隆博)

 ◆吉野 星吾(よしの・せいご)1998(平10)年6月7日生まれ、神奈川県川崎市出身。1メートル85、80キロ。右投げ右打ち。川崎市立枡形中時代は調布リトルと同シニアでプレーし投手。早実では1年秋から背番号19でベンチ入り。遠投90メートル。50メートル走6秒7。

続きを表示

2015年8月21日のニュース