巨人・阿部驚嘆「甲子園みたい」打者17人攻撃1イニング12点

[ 2015年8月20日 06:00 ]

<巨・神>大量得点で連勝を飾り、お立ち台で笑顔でポーズを取る(左から)村田、土田、片岡

セ・リーグ 巨人12-3阪神

(8月19日 東京D)
 記録的猛打だ。巨人は19日、首位・阪神に12―3で大勝した。0―3の5回に先頭・長野久義外野手(30)がチーム初安打を放つと、打者17人の猛攻。片岡治大内野手(32)が勝ち越し打を含む2安打4打点を記録するなど、球団では2位タイの1イニング12得点を挙げて逆転した。1イニング10安打は1951年以来64年ぶりの球団タイ記録で、1イニング6二塁打は球団タイおよびセ・リーグタイ記録。2敗すれば自力優勝の可能性が消滅する中で阪神に連勝し、1・5ゲーム差に詰め寄った。

 東京ドームで、巨人ファンが手にしたオレンジのタオルが回り続ける。5回の攻撃が終わらない。午後7時半から8時22分まで52分間。セ・リーグタイ記録の6二塁打を含む球団タイの1イニング10安打を放ち、球団2位タイの12得点で首位・阪神を徹底的に打ちのめした。

 この回7人目の打者として、勝ち越しの2点適時打を左前に放った片岡は、お立ち台で言った。「これがジャイアンツ打線だと思う」――。4回まで能見の前に無安打。5回攻撃前に円陣で「右打者は内角を捨ててでも、外角のシュート、チェンジアップをしっかり打て」と指示が出た。先頭の長野、1点目の適時打となった村田の右中間二塁打はいずれも外角球を捉え、勢いづいた。

 片岡は塁上で両手を広げ、首と体を揺らす「決めポーズ」。自身が考案したポーズは今月に入って浸透し、この回、坂本や村田も決めた。この回2度目の打席でも左翼線に2点二塁打を放ち、10安打と12得点目を叩き出した片岡は「僕一人でやっても仕方ない。みんなでやることで一体感が出る。名前でも付けてくれればもっと盛り上がる」。西武からFAで巨人に加入して2年目。ムードメーカーとしても欠かせない存在となった。

 原監督は「野球の怖さというか、きょうは自分たちにいい方に出ましたけど、あらためて勝負の厳しさというものを見た感じがします」と肝に銘じた。「全てがそろわないと、プロ対プロでああいうイニングというのが起こることが不思議なくらい」と打者17人の猛攻を振り返り、プロ15年目の阿部も「記憶にない。(何が起こるか分からない)甲子園みたい」と高校野球に例えて驚いた。

 原監督の母校・東海大相模も関東第一との準決勝で10得点の大勝。45年ぶりの優勝へ「いよいよというところだよね。何千校の頂点。両チームとも悔いのない戦いを正々堂々、胸を張ってやってもらいたい」と話し、母校に勢いをもらった。

 負け越せば自力優勝が消滅した3連戦で2連勝。このカードでの消滅を阻止し、1・5ゲーム差に迫った指揮官は「あすはさらに大事なゲームになる」と結んだ。会見中の表情は、ずっと引き締まったままだった。 (大林 幹雄)

 ◆イニング10安打 1イニング最多安打は西武が92年7月15日ダイエー戦(5回)で記録した13本。巨人では41年5月11日阪急戦(4回)、51年8月8日広島戦(7回)にマークして以来64年ぶり3度目の球団タイ。

 ◆イニング12得点 1イニング最多得点はロッテが09年6月11日広島戦(6回)で挙げた15点。巨人で12点以上は41年5月11日阪急戦(4回)、48年10月16日大陽戦(5回)の12点、72年6月23日ヤクルト戦(6回)の13点に次ぎ43年ぶり4度目。なお、1イニング12得点以上はプロ野球17度目だが、そのイニングのみの得点に終わったのは今回の巨人が初めて。

 ◆イニング6二塁打 1イニング最多二塁打は楽天が13年8月4日日本ハム戦(5回)で記録した7本。巨人では1リーグ時代の48年10月16日大陽戦(5回)でマークして以来67年ぶり2度目の球団タイ。セでは広島が86年6月3日大洋戦(9回)で放ったのに並ぶ2度目のリーグタイ。

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2015年8月20日のニュース