早実支えた縁の下の力持ち…萩生田助監督“最後の夏”に念願の聖地

[ 2015年8月20日 08:20 ]

試合前、外野ノックを放つ早実・萩生田一輝助監督

第97回全国高校野球選手権準決勝 早実0―7仙台育英

(8月19日 甲子園)
 清宮らを擁して4強進出と躍進した早実。快進撃の影に、縁の下の力持ちとしてサポート役を務めた大学生の存在があった。 

 早実OBで早大4年の萩生田一輝助監督(21)だ。

 進路の関係で今年が「最後の夏」。そんな中での4強進出に「出なきゃいけないプレッシャーや注目の中、加藤を中心に3年生がチームを引っ張ってくれた。最後の年にこういう形で甲子園に出場することが出来て、3年間続けてきてよかった」と感無量の面持ちを浮かべた。

 現役時代は現在早大のリードオフマンを務める重信らと同期で5番を務めた。最後の夏は西東京大会決勝で、吉永(現早大)を擁し、その年に全国制覇する日大三に1─2で敗れた。「甲子園に出場することができず、不完全燃焼だった。大学でプレーヤーをやるよりも甲子園にこだわりがあった」。高校野球引退以降、後輩の手伝いに没頭。大学野球部には入らず、学生コーチとなる道を選んだ。

 和泉実監督は「大学でも普通にやればレギュラーを獲れるくらいの力があった。でもこっちを手伝うと言ってくれた」と振り返る。

 主に土日で練習を手伝い、昨秋の新チーム発足から助監督に就任。大学生の助監督は過去をさかのぼっても異例のケースだった。「和泉さんから“助監督をやらないか”と言ってもらえて嬉しかった。自分の役割は監督と選手の間に立って監督に言えないことを聞くこと。年が近いからこそできる役割だと思いながらやってきた」。この夏は、夏休みを利用して西東京大会から甲子園まで帯同。大阪入り後は宿舎生活のサポートを始め、割り当て練習では打撃練習でゲージの後ろからアドバイスを送ったり、紅白戦では球審を務めるなど文字通りチームを支えた。

 甲子園では試合前のノッカーを務め、初戦の今治西戦前に念願の聖地に立ち、4年越しの夢を叶えた。準決勝まで5度もノックをこなした。惜しくも決勝には届かなかったが「グラウンドに立ててすごく嬉しかった。最後の最後につれてきてもらえると思わなかった。選手のおかげです」。むせび泣くナインに温かいまなざしを送っていた。

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