首位の名が泣く…阪神 醜態球団ワースト1イニング12失点

[ 2015年8月20日 05:30 ]

<巨・神>5回1死二、三塁、片岡に勝ち越しの2点適時打を浴び、先発・能見が降板

セ・リーグ 阪神3-12巨人

(8月19日 東京D)
 阪神が醜態をさらした。19日の巨人戦(東京ドーム)で3点リードの5回に球団ワーストタイとなる1イニング10安打を浴び同ワースト記録となる1イニング12失点。球団創設80周年のシーズンに屈辱的な敗戦を喫し2連敗となった。長期ロードのカード連続勝ち越しも4でストップした。

 言葉も出ない。左翼席の虎党は目の前で展開される惨劇を、ただ見つめるしかなかった。51分35秒にも及んだ、巨人の長すぎる猛攻撃。5回裏のスコアボードに記された「12」は1イニングにおける球団史上最多失点という醜態だった。「バッテリーはそれまでうまいこと攻めていたが(あの回は)単調になった」と振り返る和田監督の表情もこわばったままだった。

 悪夢の始まりとなった先頭・長野の右前打から4連打と井端の左犠飛で同点。立岡の二塁打で1死二、三塁とされ片岡の2点適時打で勝ち越しを許した。4回までの無安打投球から一転、6長短打を集中されてのKO劇。巨人戦通算20勝を誇る百戦錬磨の能見をもってしても流れを食い止めることはできなかった。「高かったのはあるかもしれないけど、あれだけヒットが続くと気持ち悪い」と巨人の徹底した攻めに首をかしげた。

 頼れる左腕が姿を消すと、あとは宿敵に好き放題にやられた。2番手の歳内は坂本に適時二塁打を浴び、連続四球で1死も取れぬまま降板する始末。満塁から登板した山本は亀井、村田に連続で2点適時二塁打を許し、最後は片岡に左越えに2点二塁打を浴び、この回計12失点となった。1イニングの被安打10も球団ワーストタイの汚点だった。

 「一つの神話」も途切れた。能見と巨人内海の先発マッチメークは過去7度あり、阪神は7戦全勝で能見も6勝を挙げていた。味方の3点先取でこの日も…と思ったのもつかの間、まさかの逆転負けで2年連続の2桁黒星となった。「反省して次に生かさないと。これで終わりじゃない」。落胆の色を見せることなく、次回登板でのリベンジを誓ったのが、せめてもの意地か。

 前夜の1安打負けに続く屈辱で2位巨人とのゲーム差は1・5。どちらが首位か分からない感じになってきた。今季対戦成績は7勝12敗となり1敗すればカード負け越しが決まる。過去、1937年秋の初優勝から2005年まで9度のリーグ優勝のうち64年の13勝15敗以外の8度は巨人に勝ち越している。打倒巨人を果たしてこそ、優勝に近づく。

 指揮官は「こんなことでジタバタすることはない。あす(20日)の一戦に集中するだけ」と言い自ら会見を終えた。20日は猛虎にとっての大一番。V奪回を夢物語にしないためにも勝つしかない。 (森田 尚忠)

 ▼阪神中西投手コーチ 能見の状態は良かったよ。ただピンチになってから外、外で逃げて勝負できていなかった。あれだけ勢いがついたらしんどい。(5戦連続登板の)歳内は明日はちょっと使えない。球が落ちてきている。石崎は技術的な部分では安定感が出てきたけど、内角を使い切れていない。

 ≪1イニング失点の球団ワースト記録≫阪神は5回、巨人打線17人に10安打の集中打を浴びて1イニング12失点。これは75年8月26日大洋戦(甲子園)3回の11失点を更新する、1イニング失点の球団ワースト記録。巨人戦ではこれまで13年9月8日(甲子園)の6回など4度あったイニング9失点が最多だった。なお1イニング10被安打は球団ワーストタイ記録。

 ≪カード勝ち越しへ後がなくなる≫チームはこの巨人3連戦を1、2戦連敗で負け越し。今季長期ロード開始からの連続カード勝ち越しが4でストップ。今季の巨人戦も7勝12敗となり07年以来、8年ぶりのカード勝ち越しへ後がなくなった。

続きを表示

2015年8月20日のニュース