東海大相模、エース小笠原“温存”36球 決勝託した

[ 2015年8月20日 05:30 ]

<東海大相模・関東第一>8回、鈴木の適時内野安打で本塁のベースカバーに入る東海大相模・小笠原

第97回全国高校野球選手権第13日・準決勝 東海大相模10―3関東第一

(8月19日 甲子園)
 高校野球100年、節目の大会の決勝は45年ぶり2度目の夏の全国制覇を狙う東海大相模(神奈川)と、東北勢初優勝へ意気上がる仙台育英(宮城)の対戦に決まった。東海大相模は吉田凌投手(3年)、小笠原慎之介投手(3年)の継投で関東第一(東東京)を撃破。仙台育英は佐藤世那投手(3年)が早実打線を6安打で完封し、89年以来2度目、春夏を通じて東北勢11度目となる決勝に歩を進めた。決勝は20日、午後1時にプレーボールがかかる。

 プロ注目の関東第一・オコエを斬り、吉田は勢いに乗った。初回、「ちょっとの制球ミスも許されない」とワンバウンドのスライダーで空振り三振させると、3回の第2打席もスライダーで空振り三振。中盤以降は「吉田イコール、スライダーみたいになっている。逆に利用しよう」と、最速143キロを計測した直球を多投した。7回138球を投げ、8安打6奪三振1失点にまとめた。

 「後ろに小笠原がいるからできた投球。少しは(借りを)返せたかな」

 花咲徳栄との準々決勝で先発し3回2/3を3失点。小笠原の好救援で逆転勝ちしたものの、ベンチで号泣した。「申し訳ない投球をした。何としてでも返そう」と強い決意を秘めた先発だった。10―1の8回からは小笠原が救援。2失点したが、連戦となる決勝に向けエースが球数を36球に抑えられたのは大きい。

 小笠原は中学時代に湘南ボーイズで「ジャイアンツカップ」を制し日本一を経験。「少し天狗(てんぐ)になっていた」。だが、高校で吉田と出会い、すぐに鼻が折れた。「上には上がいると思った。吉田がいたから今の自分がある」。つらい走り込みも吉田の「頑張れ」の一言で乗り越えられた。「自分は未熟者の、ただの左ピッチャー」と謙虚になった。母・美智子さん(45)によると「優しい性格で天然なところもある」。中学時代に親戚に「慎ちゃん(小笠原)ってモテるの?」と聞かれ「何を持てばいいの?」と真顔で返し、笑いを誘った。普段はマイペースな17歳だ。

 ダブルエースで目指す頂点。前回Vの1970年は、昨年死去した故原貢氏が監督として指揮を執り、甲子園初勝利から一気に大旗を奪って強豪校への礎を築いた。門馬敬治監督は、恩師が果たして以来となる夏の日本一へ「最高の舞台で選手と最後まで戦いたい」と意欲。5試合36得点の強打・仙台育英を相手に先発が濃厚な小笠原は「1から9番まで気が抜けない。自分一人では勝てない。感謝の気持ちを持って投げたい」と言い切った。 (渡辺 剛太)

 ▼巨人・原監督(76年度卒)いよいよというところだよね。何千校という中の頂点。両チームとも悔いのない戦いを正々堂々、胸を張ってやってもらいたい。(勝てば45年ぶりの夏制覇となるが)勝負事で“たられば”の話はしない方がいい。

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