仙台育英・佐藤世 “一発けん制”で満塁ピンチ脱出 流れ渡さず

[ 2015年8月20日 05:30 ]

<早実・仙台育英>3回2死満塁、早実の二走・山田(右)はけん制でタッチアウトとなる

第97回全国高校野球選手権第13日・準決勝 仙台育英7―0早実

(8月19日 甲子園)
 8回を終えて球数は107球。佐々木順一朗監督から「どうする?」と問われた仙台育英の佐藤世は言った。「行きます」。7―0の大差をつけていたが「イメージと体が一致していなかったので、少しでもいい感覚になるようにと思った」と、決勝を見据えて続投を志願した。

 立ち上がりから制球に苦しみ7四死球。それでも得点を与えなかった。初回1死一塁では清宮を直球で二ゴロ併殺。5、7回も併殺を取った。奪った三振は3個だけだったが、丁寧な投球で今夏初完封を成し遂げた。

 投げるだけではない。3回2死満塁のピンチでは、素早いけん制で二塁走者を刺した。「走者を気にしていませんよという雰囲気、動作をして、めったに使わない“一発けん制”を入れた」。4番・加藤の打席でのビッグプレーだった。清宮との対決には「タイミングが合っていた。抑えたというより、早打ちしてくれて助かった」と言いながら、内野安打1本に抑え3年生の意地を見せた。

 17日の秋田商との準々決勝後、たこ焼きを頬張った際に、上唇をやけどした。痛みが気になり前夜はなかなか寝付けなかったが、マウンドに上がれば、痛みは消し飛んだ。高校野球が始まって100年の節目の年に、東北勢初優勝に王手。佐々木監督が「めったにないチャンス。長い間の思いが詰まっているので、勝ちたい」と言えば佐藤世も「勝つことだけを考える」と力強く宣言した。

 花巻東、秋田商の東北勢を破っての進軍。第1回大会出場校に寄せられた期待に応えて甲子園に出てきた早実の和泉実監督は、昨秋結成の現チームで初の公式戦零敗を喫して言った。「佐藤君の球は魂がこもっていた。東北代表の意識が強く感じられて、100年とかではなく、もっと凄いものを背負っている気迫があった」。敵将をここまでうならせる、121球だった。 (川島 毅洋)

 ≪準決勝はともに全勝≫仙台育英と東海大相模が決勝進出。両校とも準決勝に強く、仙台育英は今回が春夏通算3度目、東海大相模は7度目でともに全勝となった。

 ≪過去10度とも敗れ準優勝≫東海大相模は神奈川勢として10年準優勝の同校以来、5年ぶり10度目の決勝進出。仙台育英は宮城勢として03年準優勝の東北以来、12年ぶり3度目の決勝。また東北勢としては春夏通算11度目の決勝進出で、決勝は夏第1回大会の1915年秋田中から過去10度とも敗れ準優勝。

 ≪春夏通算で神奈川勢の2勝1敗≫宮城勢と神奈川勢は春夏通算で神奈川勢の2勝1敗。決勝での対戦は初めて。

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