中京大中京・上野1球に泣く サヨナラ被弾…夢は中学時代の友に託す

[ 2015年8月17日 05:30 ]

<関東一・中京大中京>9回1死、サヨナラ弾を浴び1失点で敗れた中京大中京・上野(右)は涙を流す

第97回全国高校野球選手権3回戦 中京0-1関東第一

(8月16日 甲子園)
 左翼席へ吸い込まれた打球をぼう然と見つめた。中京大中京の最速144キロ右腕、上野は1球に泣いた。両軍無得点で迎えた9回1死、長嶋へ投じた初球。「1球の重みを感じた」という127球目の直球を痛打された。あいさつへ向かった三塁アルプス席の前で涙が止まらなかった。

 「相手の校歌が流れて負けたんだな、と。なかなか負けを受け止めることができなかった」

 5回まで被安打0。内外角に散らす投球術と最速143キロを計測した直球で的を絞らせなかった。圧巻は強打者オコエを迎えた6回1死二塁の場面。7球連続直球で押した後にチェンジアップでタイミングを外し、空振り三振を奪った。「絶対抑えてやろうと気合が入った」。8回に遊撃内野安打を浴びた以外は捕邪飛、遊ゴロに封じた。

 夢は親友に託した。関東第一の捕手・鈴木は愛知西シニアでバッテリーを組んだ間柄。7回2死一、三塁の場面ではファウル8球で粘られた末に直球で空振り三振を奪った。力を込めた12球勝負だった。「(鈴木)大智じゃなく、一人の打者として全力で抑えにいった」。全3試合を投げ抜いた主将は最後に友と握手を交わして聖地を去った。(吉仲 博幸)

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