秋田商80年ぶり8強!成田翔161球完投 悲願へ「次も自分が…」

[ 2015年8月17日 05:30 ]

<健大高崎・秋田商>10回2死二塁、最後の打者を中飛に仕留めガッツポーズする成田翔(左)と工藤

第97回全国高校野球選手権3回戦 秋田商4-3高崎健康福祉大高崎

(8月16日 甲子園)
 3回戦4試合が行われ、8強が出そろった。第1試合では秋田商が高崎健康福祉大高崎(群馬)を延長10回の末に4―3で下し、80年ぶりの準々決勝進出。成田翔(かける)投手(3年)が3失点で2試合連続完投勝利を挙げた。第3試合では仙台育英(宮城)が花巻東(岩手)との東北対決を制し、21年ぶりのベスト8入りを決めた。17日は準々決勝4試合が行われ、清宮幸太郎内野手(1年)を擁する早実(西東京)は、第1試合で九州国際大付(福岡)と対戦する。

 4―3の延長10回2死二塁。一打同点のピンチでも、成田翔は三振を狙っていなかった。最後の打者は初球の140キロ直球で中飛に打ち取った。

 「(10回に)野手が1点取ってくれたので、あとは自分が抑えるだけ。気合が入っていた」

 1失点完投した初戦(2回戦)の龍谷戦では縦に曲がりながら落ちるスライダーを低めのボールゾーンに集め、16奪三振をマークした。この日の相手は小技に足を絡めてくる高崎健康福祉大高崎。「当ててくる打者が多い。三振は取らずに打たせて取ることしか考えていなかった」と決め球のスライダーをあえてストライクゾーンに投じた。4盗塁を決められても動揺は「全くなかった」という。奪った三振は7個だったが、バックを信じて161球を投げ抜き、2試合連続で完投した。

 1メートル68と小柄な体形は同じ左腕で同校OBのヤクルト・石川と重なる。大先輩が投げる試合はテレビ観戦し「リリースポイントを前にしている」ことを取り入れた。冬場は雪の上を長靴で走り込み、捕手・工藤が「あいつは暇さえあれば部屋で腹筋をしている」というほど体幹も鍛えてきた。

 1935年以来80年ぶりに、同校最高成績に並ぶ8強入り。それでもエース左腕は「一つ一つ上に行くだけ。次も自分が投げきるつもりでいく」と通過点を強調した。高校野球が始まって100年。第1回大会決勝では秋田中(現秋田)が京都二中(現鳥羽)にサヨナラ負けを喫した。優勝旗の「白河の関越え」は、今もなお、東北勢の、そして秋田県勢の悲願だ。

 準々決勝の相手は、同じ東北勢の仙台育英。太田直(すなお)監督は「うちは東北では一番劣っているという自覚を持って食らいついてきた」と挑戦者としてぶつかる。(川島 毅洋)

 ▼秋田商・草なぎ(延長10回2死三塁から決勝の左前打)甘い球を思い切っていった。とにかく気持ちで打った。

 ▼ヤクルト石川(97年度卒)僅差の試合をものにして素晴らしい。成田翔君は160球以上投げてあすも試合がある。粘り強く戦って、先輩の記録(夏最高のベスト8)を超えてほしい。(同級生の)監督には、“おめでとう。次も頑張って”とメールを送りました。

 ◆成田 翔(なりた・かける)1998年(平10)2月3日、秋田県生まれの17歳。小4から野球を始め、秋田東中では軟式野球部に所属。秋田商では1年春からベンチ入りし、2年秋からエース。趣味は音楽鑑賞、好きな言葉は「負けん気」。50メートル6秒9、遠投100メートル。1メートル68、68キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

2015年8月17日のニュース