藤浪 高卒新人3年連続10勝も「通過点」 江夏、松坂に並んだ

[ 2015年8月15日 06:03 ]

<ヤ・神>4回2死二、三塁、藤浪は左翼線に2点二塁打を放つ

セ・リーグ 阪神7-3ヤクルト

(8月14日 神宮)
 阪神・藤浪晋太郎投手(21)は14日、ヤクルト戦に先発し、7回を2失点に抑えリーグ一番乗りで10勝目をマークした。高卒投手の入団から3年連続での2桁勝利は、2リーグ制後では99~01年の松坂大輔(西武)以来、史上9人目。セ・リーグでは67~69年の江夏豊(阪神)以来の快挙となった。打ってもプロ初の決勝打となる適時二塁打を放ち、首位を走るチームを6連勝へ導いた。

 快音。「打者・藤浪」は、初球から狙っていった。4回に同点に追いつき、なお2死二、三塁。古野の139キロシュートを完璧に捉えた。決勝の左翼線2点二塁打。沸き返る左翼スタンドの大歓声が心地よかった。

 「たまたま振ったら当たった。いいところに飛んでくれた。ラッキーでした」。たまたま、は謙遜だろう。投手も9人目の打者。その強い意識が勝負どころで生きた。3年目の今季は、打撃面でも新境地を模索してフォームを改造。昨季までは低い重心だったが、打席内で大きく自然体で構えるようにした。「打撃でも脱力をイメージしている」。投球で心掛ける「脱力」を打撃に応用。これで若きエースが打点を挙げた試合は、1年目からチームは11戦全勝だ。虎の不敗神話。勝利打点はプロ初となった。

 「あまりにも立ち上がりが良くなさ過ぎた。中盤以降は修正できた。(修正部分は)イメージ、バランス、リリースのタイミングです」

 自らの決勝打で「投手・藤浪」も息を吹き返した。押し出し四球と暴投で3回までに2失点。5四球と制球に苦しむも、勝ち越した直後の4回からは別人のように立ち直った。試合中には、左足と同時にグラブを上げるフォームに修正。和田監督は「自分で修正して右足に体重が乗るように工夫してやっていた」と評した。配球では直球中心の組み立てから、カットボール主体への切り替えも生きた。4回以降の4イニングは1安打無失点で5奪三振。7回2失点にまとめて「最低限の仕事はできた」と振り返った。

 長いシーズンを乗り切るため体調管理を徹底している。昨年4月に20歳になり飲酒が可能となった。しかし、飲むのは登板3日前まで。「2日前でも乾杯のビールくらいなら…というのはあります。ただ、打たれた時に“やめておけばよかった”と思いたくない。お酒のせいにしたくないんです」。見えない努力の積み重ねが、今の藤浪をつくり上げている。

 「1年目から我慢して使ってもらった。いい時も悪い時も…。ここは通過点でしかない。これからも頑張っていきたい」

 セ・リーグ一番乗りの2桁10勝目。高卒1年目からの3年連続の2桁勝利は99~01年の松坂(西武)以来で、セ・リーグでは67~69年の江夏(阪神)以来の快挙だ。中5日で首位攻防第1ラウンドの先発を任され、チームに今季2度目の6連勝をもたらした。盛夏の快進撃。その先頭には、藤浪がいる。(惟任 貴信)

 ≪両リーグ最遅≫藤浪(神)が今季10勝目。両リーグ10勝一番乗りは7月10日の大谷(日)だが、セの一番乗りを果たした。阪神でセ10勝一番乗りは05年井川以来で、右腕となると80年小林以来35年ぶり。また大谷、藤浪は3年目の同期。セ、パともに高卒3年目以内の投手が10勝一番乗りは、68年に3年目の鈴木(近鉄=5月29日)と堀内(巨=6月5日)が記録して以来47年ぶりとなった。なお、8月14日のリーグ10勝一番乗りは、93年パの野田(オ=8月7日)を超えて両リーグで最も遅い。

 ≪江夏に次ぎ2人目≫高卒1年目から3年連続2桁勝利は、99~01年の松坂(西)以来両リーグ9人目。阪神では67年から9年続けた江夏に次ぎ2人目だ。

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