内海「遅すぎる」106戦目1勝 2度足つり降板も“3度目正直”

[ 2015年8月13日 05:30 ]

<巨・D>5回2/3を4失点の粘投で今季初勝利を挙げた内海

セ・リーグ 巨人8-7DeNA

(8月12日 東京D)
 巨人・内海哲也投手(33)が12日のDeNA戦で今季初勝利を挙げた。3度目の先発マウンドで5回2/3を4失点(自責2)。未勝利の04年を除けば最も遅いシーズン106試合目の1勝目だった。昨年9月26日以来320日ぶりの白星をアシストしたのは打線。4回、2点を挙げた後の1死満塁で堂上剛裕外野手(30)に球団4年ぶりの代打満塁アーチが飛び出し、一挙6点のビッグイニングをつくった。

 6回途中、2点差に迫られた内海に投手交代が告げられた。悔しさと情けなさから足早にベンチに向かった左腕に、スタンドからは温かい拍手が注がれた。今季初勝利をみんなが願っていた。

 「うれしいですけど、こんなピッチングでここ(お立ち台)に上がっていいのかなと疑問に思っています。(初勝利は)遅すぎるでしょ、遅すぎます。つかみ取った、というより、頂いた1勝」

 満足はできなかった。4回に先制を許した。味方が逆転した直後の5回に失点を重ねた。さらに6回。味方の失策も絡んで2死二、三塁とし、嶺井に右中間フェンス直撃の2点適時打を浴びた。「しょうもないピッチング」。復活の好投は次回にお預けとなった。

 野球人生で最も苦しんだ。左前腕の炎症で開幕を2軍で迎えた。自宅テレビで見た開幕戦からは視線をそらした。復帰戦の6月5日のソフトバンク戦(東京ドーム)では両足がつるアクシデント。前回登板でも左太腿裏がつった。「正直、しんどい…」。決して弱音を吐かない男が耐えきれず漏らしたこともあった。

 グラウンド外でも大きなショックに見舞われた。04年の入団時に2軍監督であった高橋一三氏が、7月14日に69歳で死去した。プロ1年目、直球とカーブしかなかった内海にチェンジアップ習得を勧めてくれた。

 「言われるがままに投げてみたら、あっさり投げられた。簡単に空振りやゴロが取れた。きっと(球種が投げ方に)合っているのも見抜いてくれていたんだと思います」

 それまでは右打者の外角に逃げる球がなかったが、投球の幅が広がった。2軍で9勝し、イースタン・リーグ最優秀防御率を受賞。翌年から開幕ローテーション入りし、飛躍のきっかけをつかんだ。いまや代名詞となった球種で、この日も4回2死二、三塁で嶺井を三ゴロに仕留めるなど、打者のタイミングを外した。

 恩師の通夜では「ありがとうございます。頑張ります」と手向けの勝利を誓っていた。本調子にはほど遠かったが「もし次、チャンスをもらえたら自分の投球で貢献したい」と前を向いた。原監督は「白星は良かった」とする一方で「こういうゲームに持ち込まれたのも、大きな原因はそこにあると思いますよ」と厳しさも忘れなかった。

 残り37試合。精神的支柱の今季初白星はチームに追い風となるはずだ。 (川手 達矢)

 ≪自身最遅ペース≫内海(巨)が今季初勝利。チーム106試合目での初白星は昨年5月29日楽天戦(59試合目)より大幅に遅いペースだ。また、内海はプロ入り以来8月以降に強く通算50勝26敗(.658)。特に最近5年間では26勝8敗(.765)と大詰めで頼れる存在になっている。

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