メジャーは「素手派」がトレンド!?次代のスーパースターも

[ 2015年7月29日 10:30 ]

レンジャーズのフィルダー(AP)

 連日、熱戦を繰り広げている高校野球でも、革手(打撃用の革手袋)を使うのは当たり前の時代だが、最近、メジャーの中継を見ていると、素手で打つ選手が目立つようになった。その一人が、次代のスーパースターと言われるナショナルズの22歳ブライス・ハーパー。目下、本塁打はリーグトップタイの27本で、今季は3冠王も狙える。

 日本でもおなじみ、レンジャーズのフィルダーも5月から革手を使うのをやめた。同僚のルーキー、デシールズに「高校時代に戻ろう」と誘われたのがきっかけという。すると、その試合で本塁打。以来、素手で打ち続け、昨季まで通算打率は・285だったが、今季はリーグ2位の・336と、持ち前のパワーに加えて確実性も増した。

 そもそも、革手はいつから使われるようになったのか。メジャーでは1930年代から打撃練習の際に故障箇所を守る目的で使われていたが、公式戦で初めて使ったのは、1964年のアスレチックスのケン・ハレルソンと言われている。

 右打ちのハレルソンは、対右投手の通算打率が・231。その日の対戦相手ヤンキースの先発が右投手と思い込み、「きょうは出場はないはず」と朝からゴルフに行き、27ホールを回った。ところが、球場に着くと、ヤンキースの先発は伝説の左腕ホワイティ・フォードだった。4番での先発を言い渡されたハレルソンはゴルフでできたまめを保護するために、ゴルフの手袋をして試合に出た。それが始まりで、一般的に使われるようになったのは80年代という。

 革手をつけた方がしっかりバットを握れるため、バットに力が伝わりやすい。また、手の皮がむけるたりすることも防げる。最近はファッション性もある。

 その一方で、素手で打つ感覚の大切さを指摘する選手もいる。90~00年代にエクスポズやマーリンズなどで活躍した強打者モイセズ・アルーも革手を使っていなかった。彼は当時「バットのヘッドが走る感覚が分かるし、手がしびれないように、よりシンで当てることに集中しようとする」と話していた。今季、打撃好調のジャイアンツの青木は4月途中から、押し込む側の左手だけ手袋を外している。「左手の感覚を研ぎ澄ますため」というのが理由だ。

 革手の利点もあるが、素手の良さもある。「素手派」のハーパーやフィルダーがタイトルを獲得すれば、メジャーの新たなトレンドになるかもしれない。(甘利 陽一)

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2015年7月29日のニュース