清宮V2点二塁打!早実 王先輩の待つ甲子園へあと1勝!

[ 2015年7月25日 05:30 ]

<日大三・早実>決勝進出を決め笑顔の早実・清宮

第97回全国高校野球選手権西東京大会準決勝 早実2―0日大三

(7月24日 神宮)
 ついに王手だ。早実の清宮幸太郎内野手(1年)が24日、第97回全国高校野球選手権西東京大会準決勝、日大三戦に「3番・一塁」で出場。3回に右中間フェンスを直撃する決勝の2点二塁打を放ち、チームを4年ぶりの決勝に導いた。今大会5試合で得点圏打率6割を誇る「和製ベーブ・ルース」が、優勝候補を相手に勝負強さを存分に発揮した。5年ぶりの夏の甲子園出場を狙う早実は、26日の決勝で東海大菅生と対戦する。

 スタンドの声援は聞こえていなかった。0―0の3回2死一、三塁。清宮の集中力は、極限まで高まっていた。フルカウントからの7球目、外寄りの直球を強引に引っ張った。打球はあっという間に右中間フェンスを直撃。今大会初アーチにはあと1メートル届かなかったが、決勝の2点二塁打となった。16歳は二塁ベース上で2度、手を叩いた。

 「チャンスで打たないと(展開が)苦しくなる。どんな球でも打ってやると思っていた。来た球を捉えただけ。もっと飛んでいないと思った」

 今春の東京都大会を制した優勝候補の日大三との大一番には、報道陣34社147人、観衆1万3000人が詰めかけた。清宮は「イメージを湧かせてから、神宮に来た」と準備に抜かりはなかった。前日は相手投手の映像を見て、球種や軌道を頭に叩き込んだ。過去4試合で3失策を記録した一塁守備でも、打者ごとの打球傾向を分析し、一塁線寄りにポジションを変更する場面もあった。「きょうは捕るというより、前に落とすことだけしか考えていなかった」。その言葉通り、3回には痛烈な一ゴロを体を張ってアウトにした。

 憧れの甲子園まであと1勝。13年センバツでは元早大ラグビー部監督で、現在はトップリーグのヤマハ発動機監督を務める父・克幸氏とともに早実のアルプス席から声援を送った。当時は中学2年生。先輩たちのプレーに「格好いい」と胸を躍らせ「早実の4番に座って甲子園で優勝」が明確な目標になった。あれから2年。1年生で堂々と3番に座り、今大会2度目の決勝打を放った。和泉実監督は「マークが厳しい中、最後(フルカウントから)の一撃はさすが」と言い、同じ左打者で今秋ドラフト候補の4番・加藤も「もう1年生とは思えない」とうなった。誰もが実力を認める存在にまで成長した。

 初戦から4試合連続2桁安打だった打線はわずか4安打。1年生スラッガーが、ワンチャンスをものにしたのだ。今大会5試合で得点圏では10打数6安打9打点と、好機での集中力はすさまじい。6回には公式戦37打席目で初三振を喫するなど連続三振も記録したが「次までに修正したい」と決勝戦を見据えた。

 今年は高校野球が始まって100年の節目の年。早実は1915年の第1回大会に出場した歴史を持つ。今夏の甲子園では早実OBのソフトバンク・王貞治球団会長が開幕戦で始球式を行うことも決まっている。聖地まであと1勝。清宮は「野球を始めたきっかけも甲子園にある。そこに行って、存分に楽しくプレーしたい」と言葉に力を込めた。王先輩とともに、甲子園に戻る。その一心で、決勝に臨む。 (川島 毅洋)

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