県岐阜商・高橋純平 夏初登板も「いい時が100なら今はまだ10」

[ 2015年7月22日 05:30 ]

<中京・県岐阜商>7回から登板した高橋

第97回全国高校野球選手権岐阜大会準々決勝 県岐阜商5-3中京

(7月21日 長良川)
 今秋ドラフト1位候補の152キロ右腕、県岐阜商の高橋純平投手(3年)が21日、第97回全国高校野球選手権岐阜大会の中京との準々決勝で今大会初登板した。2点リードの7回から救援し、1回2/3を2安打無失点で1奪三振。強豪に競り勝ち、4強入りを果たした。今月初旬の練習中に左太腿裏肉離れを発症。「50%」の状態でも最速144キロを計測し、復活への第一歩を踏み出した。

 待ちに待ったその時は、2点リードの7回に訪れた。「ピッチャー高橋」がコールされると、長良川球場は拍手に包まれた。「待っていました、我らのエース!」。一塁側スタンドの控え部員から声援を浴び、高橋ははにかみながらマウンドへ向かった。

 「やっと一歩を踏み出すことができた。ベストから50%ですが、やっと投げることができました」。強豪・中京相手に今大会4試合目で初登板。今月初旬に左太腿裏肉離れを起こし6月14日の練習試合以来となる実戦だった。西武を除く11球団23人のスカウトが集結する中、先頭を139キロ直球で三ゴロに仕留め、右拳を握りしめた。緩いカーブも駆使して3者凡退に抑えた。50%でも直球の最速は144キロを計測。だが8回は130キロ台に落ち込んだ。2死から連打を浴び高校通算35本塁打の4番・今井を迎えたところで降板。グラブと右手を合わせる「ごめん」のポーズをつくってベンチへ戻った。

 球場は一瞬、不穏な空気に包まれたが、小川信和監督は継投の意図を明かす。「回復はすさまじいですが、まだまだ痛々しいし本調子に遠い。今井君に回るところで、と思っていた。今の状態では高橋より今井君が上」。先発の村居を中堅から再びマウンドへ送った。高橋も「チームの勝利が優先。村居が投げて正解」と納得の交代だった。

 高橋を指導する太田郁夫コーチは「いい時が100なら、今はまだ10くらいの状態」と実情を明かす。踏み込む左足に負担がかからないように投げるため、明らかに躍動感がなかった。高橋本人も「球種がバレバレのフォームだったと思う」と振り返る。それでも24球を投げた。

 準決勝は24日。勝ち抜けば、決勝は連戦になる。「最後の夏に(怖いとか)そういうことは言っていられない。思ったより回復に向かっています。目先の一戦に全力でいきたい」と高橋。起用は終盤の短いイニングに限られる。春夏連続の甲子園に向け、難敵の中京を退けたが、試練はここからだ。(吉仲 博幸)

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