仙台育英2年ぶり聖地決めた!佐藤世那8回10K&満塁弾

[ 2015年7月22日 05:30 ]

<仙台育英・古川工>8回10K無失点の好投を見せた佐藤世

第97回全国高校野球選手権宮城大会決勝 仙台育英13-0古川工

(7月21日 コボスタ宮城)
 第97回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は21日、35大会で162試合が行われた。宮城大会決勝では仙台育英が古川工を13―0の大差で下し、2年ぶり25度目の甲子園出場を決めた。先発した今秋ドラフト候補の佐藤世那(せな)投手(3年)が8回無失点10奪三振。打っても満塁本塁打を放ち、投打で優勝に貢献した。東東京大会では東京実が堀越に延長10回サヨナラ勝ちを収め、8強入りを決めた。22日は34大会138試合が行われ、青森大会では決勝が行われる。

 苦しんだエースが最後に最高の笑顔を見せた。仙台育英の佐藤世は2番手・百目木(どめき)が最後の打者を打ち取ると左拳を突き上げ、真っ先にベンチを飛び出した。

 「ホッとした。これ以上情けない姿を見せたらエースでいられなくなる。必死だった」

 先発した前日の準決勝・石巻戦では初回に押し出し四球を与え、なおも無死満塁で降板。1アウトも取れなかった。昨秋に痛めた右肘に不安が残り、調子が上がらない。それでも佐々木順一朗監督は「(佐藤)世那で20点取られて負けてもいいじゃないか」と信頼するエースを起用した。

 初回、先頭打者を空振り三振に仕留めると、一気に緊張がほぐれた。テークバックの大きい独特のフォームから自己最速にあと1キロと迫る最速143キロの直球とフォークを投げ込み、8回で10三振を奪った。打っても5回にダメ押しの左越え満塁本塁打。「自分が楽になった」と振り返る高校通算3号を含む3打数3安打の大当たりだった。  前夜は不安に襲われ、いてもたってもいられず、自宅近くの坂道をダッシュ。しかし、「蜂に追い掛けられて猛ダッシュで逃げた」と苦笑いする。刺されたトラウマがあるという「天敵」から野球を忘れて必死で逃げ回ったこともいい気分転換になったのだろう。午後8時には眠りに就いて体調も万全だった。

 試合前には、今春のセンバツ1回戦で完封した神村学園戦などの映像を動画投稿サイトでチェック。好調時と比べて開きが早かった左肩を修正し、快投につなげた。4球団のスカウトが視察する中で、ドラフト候補右腕が復活を印象づけた。

 今春のセンバツでは2回戦で優勝した敦賀気比に1―2で惜敗した。「甲子園で借りを返したい」と佐藤世。東北勢悲願の初大旗を目指し、最後の甲子園に臨む。(渡辺 剛太)

 ◆佐藤 世那(さとう・せな)1997年(平9)6月2日、宮城県生まれの18歳。秀光中では軟式野球部に所属し3年時にKボールの日本代表としてアジア選手権準優勝。仙台育英では1年秋からベンチ入り。名前の由来はF1レーサーのアイルトン・セナ(故人)、96年のテレビドラマ「ロングバケーション」で木村拓哉が演じた主人公・瀬名秀俊から取った。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

 ▼ソフトバンク・作山和英スカウト コントロールもだいぶ修正してきた。ベストな状態で投げているのを甲子園で見たい。

 ▼中日・山本将道スカウト いい時を知っていて期待が大きいだけに、まだまだかなと思う。もっといいボールは来る。

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