早実サヨナラ8強!清宮4の4 ゴジラ1年目の7安打に並んだ

[ 2015年7月21日 06:13 ]

<早大学院・八王子>7回 2死満塁 富田の適時打にベンチでガッツポーズする清宮ら早実ナイン

第97回全国高校野球選手権西東京大会5回戦 早実9―8都日野

(7月20日 八王子市民)
 「和製ベーブ・ルース」の勢いが止まらない。早実の清宮幸太郎内野手(1年)が20日、第97回全国高校野球選手権西東京大会5回戦、都日野戦に「3番・一塁」で出場し、4打数4安打3打点をマーク。今夏は3試合10打数7安打、打率・700、全試合で打点を挙げる計7打点の勝負強さを発揮している。チームは両校合わせて26安打の乱打戦の末、9回サヨナラ勝ちし、2年ぶりの8強入りを決めた。22日の準々決勝では八王子学園八王子と対戦。学生野球の聖地・神宮球場に登場する。

 サヨナラ勝ちが決まると清宮が勢いよく三塁ベンチを飛び出した。シーソーゲームの末に、9―8での決着。「まあ、高校野球らしくて楽しかったですね」と平然と言ってのけるのが、怪物たるゆえんだった。

 手がつけられない。初回2死から右中間三塁打を放つと、3回1死二塁では右前適時打。5回には追い込まれながらしぶとく中前に運び、7回1死二、三塁では3ボールから中犠飛。8回には甘く入った直球を中越え適時二塁打とし「ちょっと詰まったけど、ボールの回転を見たら良かったので伸びてくれると思った。芯に当たったら入っていた」。打球を目で追う余裕があるのが、怪物の証だった。

 4打数4安打3打点。和泉実監督が「全部の打席でいい仕事をしてくれた」と称えたように、打席での集中力は試合を重ねるごとに高まっている。特に目を引くのが、チャンスの場面。18日の夏初戦から3試合で、得点圏では7打数5安打、打率・714、7打点の荒稼ぎだ。「ベンチに入れない2、3年生がいる。ここ(チャンス)で打たなきゃ、自分が3番に入っている意味がない」と先輩の思いも背負ってプレーする。

 打席では足場を固めることなく、スッと構えに入る。打った球種にも無頓着。そんな清宮が最もこだわりを見せるのが打点だ。「ここぞ、という場面で打ちたい」と繰り返し、公式戦で実践している。初戦の試合後にははり治療を受け、前日は先輩とともにグラウンド近くの天然温泉でリラックス。真夏の3連戦でもバテることなく、実力を発揮した。今夏7安打は巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜が星稜1年夏に記録した数字に早くも肩を並べた。

 一方で、一塁の守備では1年生らしさも見られた。9回には右翼手からのワンバウンド返球を体に当ててはじき、同点に追い付かれた。記録は右翼手の失策だが「迷惑を掛けたので、勝ててホッとしている」とは本音だった。

 4回戦・都府中西戦では4000人だった観客は7000人に増え、報道陣は25社65人が集結。22日の準々決勝は、神宮が舞台となり注目度はさらに増す。「自分との闘い。相手どうこうではない。自分の芯を貫いていきたい」と清宮は言った。プレッシャーとは無縁な「和製ベーブ・ルース」は、見せ場となるチャンスでの打席を心待ちにしている。(川島 毅洋)

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