阪神・鳥谷 笑顔なき金字塔…通算1694安打で藤村富美男に並ぶ

[ 2015年7月9日 07:22 ]

<神・中>7回裏無死、鳥谷は左前打を放つ

セ・リーグ 阪神1―5中日

(7月8日 甲子園)
 節目の安打だった。4点を追う7回。無死からの第3打席だ。好投を演じていた中日・大野の100球目。阪神・鳥谷はカウント2ボール2ストライクから外角への速球をとらえた。左前へ運んだ一打は通算1694本目の安打。通算安打は阪神歴代4位の藤村富美男に並んだ。

 「光栄なことです。これからも1本でも多く打てるように頑張ります」

 偉大な先人への敬意を言葉で示した。「初代ミスタータイガース」と呼ばれた大打者。プロ野球界に加えてタイガースの創設期に活躍した伝説の選手だった。くしくも球団創設80周年を迎えた今年、猛虎魂を受け継ぐ生え抜きのキャプテンが大先輩に肩を並べた。今季で入団12年目。鳴り物入りで入団して以来、ここまでレギュラーを守り抜き第一線でチームをけん引し続けていた。

 この夜も勇姿は健在だった。2点を追う2回2死からの第1打席。低めに落ちるフォークをはじき返した中前打はチーム初安打になった。今季の大野との対戦成績は試合前の時点で10打数1安打。昨季は無安打だった。いまや天敵となった相手に対してチームとしては完敗。「真っすぐにはキレもあった」。状態の良さを認めながらも唯一のマルチ安打で立ち向かった。

 いまだ背中の痛みも癒えていない。6月21日のヤクルト戦(甲子園)で背中付近に死球。グラウンドでは隙を見せないものの患部の状態は決して良くない。それでも表情を変えずグラウンドに立ち続け、連続出場は1544試合目を数えた。

 和田監督の持つ球団歴代3位の1739安打まで残り45安打に迫った。ただ、本人は常に個人記録には無関心。人一倍の勝利へのこだわりを胸に白星だけを見つめていた。(山本 浩之)

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2015年7月9日のニュース