藤浪 自己最速タイ158キロの粘投 サンデー晋ちゃんで虎3連勝

[ 2015年6月22日 05:30 ]

<神・ヤ>6回2失点で5勝目の藤浪

セ・リーグ 阪神4-2ヤクルト

(6月21日 甲子園)
 苦しみながら、5勝目をマークした。中10日の変則的な登板間隔。しかも不得手とするデーゲームのマウンドで、白星を手にした。それでも阪神・藤浪に笑顔はない。6回5安打2失点。エースを目指す男にとって満足できる勝利ではなかった。

 「力みがありました。久々のマウンドで力の加減、バランスをつかめないままバタバタと投げていた感じ。ボールが決まりきらなくて、自分の首を絞めてしまいました」

 粘投115球。力みから直球はシュート回転し、決め球の制球にも苦しんだ。3回までは無失点も、4回に崩れた。畠山、雄平の連打で無死一、三塁。続くデニングには追い込んでから粘られ、10球を投じた挙げ句に四球で歩かせて満塁。森岡の一ゴロ、中村の二ゴロで2点を失った。

 「球威は悪くなかったので何とかごまかした感じです」。もちろんマイナス面ばかりでもない。直球は球威抜群。自己最速タイの158キロを叩き出し、粘投の原動力とした。「自分のフォームで投げられた」と言う6回はわずか10球で3者凡退に仕留め、高い修正能力も発揮。次につながる投球で、締めくくった。

 父の日。ネット裏で見守った父・晋さん(51)に成長の跡を示した。オフ期間にはゴルフを楽しむ藤浪。上達中ながら、越えられない“壁”がある。父の背中だ。ゴルフでは、まだ一度も晋さんに勝ったことがない。今年1月に父と2度目のラウンドに臨むも、再び敗北。「親父はうまいですね。調子がいい時は普通に90前後で回りますから」。改めて、父の背中の大きさを実感した。

 思えば小学1年で野球を始めた時、手ほどきをしてくれたのが、父だった。言わば最初の“壁”だった。その背中を追いかけ、いつしか追い越していた。打たれるたびにマウンド上で感情を露わにしていた少年は今、たくましく成長。本調子ではないこの日も我慢の投球を続け、26日に52歳の誕生日を迎える晋さんに前祝いの白星を贈った。

 ようやく白星先行。「野手の皆さんに感謝したい」とこうべを垂れた。これで入団1年目から日曜日での登板が通算11勝4敗となった“サンデー晋ちゃん”が次は自らの投球でチームを勝利に導く。

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2015年6月22日のニュース