バット直撃事故もネット増設に難色 オーナー側の言い分とは…

[ 2015年6月9日 16:01 ]

ファンに対してファウルボールと飛んでくるバットに注意を促すフェンウェイ・パークの表示板(AP)

 5日に行なわれたレッドソックスとアスレチックスの一戦で、折れたバットがスタンド前列の女性ファンに直撃して病院に搬送されるというアクシデントが起こったが、これを受けて大リーグ選手会は、ファンを保護するためのネット増設をオーナー側に要請していることがわかった。

 現在、大リーグの全球場では打球や折れたバットからファンを守るための措置としてバックネットのみが存在しており、それ以外のエリアではネットは張られていない。これまでもファウルボールや折れたバットがファンに直撃するアクシデントはあったが、今回のケースは生命を脅かす惨事だったこということもあり、さすがに選手会も声を上げた。

 幸いにして女性ファンの容態は快方に向かっているが、02年には北米プロアイスホッケー、NHLの試合中にパックがファンの頭部に直撃。その2日後に頭蓋骨骨折で死亡するという事故も起きているため、大リーグも対策を考える必要がありそうだ。

 NHLはその事故後、全アリーナのゴール後ろにネットが張られることとなったが、大リーグのオーナーたちは安全面よりも、エンターテイメント性を重要視したい意向があり、選手会が要求しているネット増設に難色を示している。

 あるオーナーは言う。「前列付近の席は選手を間近に感じられ、サインやボールを手に入れられるプレミアムチケット。それゆえに高額なわけで、ネットが張られてしまうとファンから不満が出るのではないかな」。だが一方で「バックネット裏の席も同様に高額。ファンはネットがあるために選手と直接触れ合えないが、あの席は常に満席になるからね…」と同オーナーは判断の難しい複雑な状況であることを吐露した。

 選手会の代表を務めるエンゼルスのC.J.ウィルソン投手も「確かに目の前にネットがある席にファンも高いお金を払いたくないだろう。安全とチケット価格とのバランス。向こうはそのあたりに頭を悩ますだろうね」とオーナー側に理解を示すコメントを残していた。

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