天国の祖母にささげた 狩野5年ぶり代打適時打「夜通し泣きました」

[ 2015年6月8日 07:45 ]

<神・日>6回2死一、二塁、代打・狩野は左前適時打を放つ

交流戦 阪神4-1日本ハム

(6月7日 甲子園)
 「和田采配」がズバリ的中だ。阪神1点リードの6回2死一、二塁。打席に9番・能見。6回1失点と粘投し、球数はまだ86球。ここは続投…ではなかった。代打・狩野。和田監督は迷わず動いた。

 「あの1点が非常に大きかった。能見も、まだ余力があったと思うけど、スパッと代えたところでの適時打。1点差で3回を守りに行くというより、もう1点を取りに行ったということ。得点圏の好機で打順が回ったので、勝負に出ました」

 指揮官の期待に背番号99も応えた。果敢に初球を叩き、左前適時打で勝利をたぐり寄せた。狩野の代打適時打は10年10月5日のヤクルト戦(神宮)以来5年ぶり。「代打の神様」関本を故障で欠く窮状を「狩野様」が救った。「関本さんのこともありますしケガ人が多い。チームでカバーしないと」。指揮官も「今、関本がいないから。大事なところで狩野が行く場面が多くなってきた」と称えた。

 「夜通し泣きました。最期に立ち会えて、送り出すことができてよかった」。狩野にとって、天国から見守る最愛の祖母に贈る一打でもあった。5月16日に祖母・狩野ハマ子さんが96歳で永眠した。ナゴヤドームでの中日3連戦中だった狩野は翌17日のデーゲーム終了後、群馬へ急きょ帰省。一晩中、祖母のかたわらに寄り添った。両親が共働きだったため、幼い頃は祖母が母親代わりだった。祖母が作ってくれた卵入りの野菜炒めが大好物だった。「いい所で打てたら、おばあちゃんが打たせてくれたんだと思います」。ハマ子さんに捧げる一打で、チームの勝利を決定づけた。

 周囲への気遣いを忘れない男。この日のお立ち台も「能見さんの気遣いです。本当は能見さんですから」とこうべを垂れた。謙虚な「狩野様」も進撃の一要因だ。

続きを表示

この記事のフォト

2015年6月8日のニュース