藤浪、甲子園初G倒が初完封!バースデーの母に最高のプレゼント

[ 2015年5月21日 06:30 ]

<神・巨>9回2死、藤浪はプロ入り初完封勝ちし雄叫びを上げる

セ・リーグ 阪神1―0巨人

(5月20日 甲子園)
 エースと呼ぶに、ふさわしい快投だった。阪神・藤浪晋太郎投手(21)が20日、先発57試合目となった巨人戦(甲子園)で1点を死守しプロ初完封勝利を飾った。2安打に封じ、13年8月4日(東京ドーム)以来654日ぶりの巨人戦勝利で今季3勝目。甲子園では自身初のG倒で、こちらも自身初の毎回奪三振という初モノ尽くしの勝利。チームの連敗を3で止め4位に浮上させた。

 最後の打者を打ち取った藤浪は、「オッシャー!」と叫んで右拳を突き上げた。今季の甲子園初勝利を初完封で彩った。「正直、自分自身ちょっとシビれました」。お立ち台の飾らない言葉に、場内の虎党もシビれた。

 「自分自身、すごく気持ちが入っていた。“この1点で勝つんだ”という気持ちを持って、自分にとって、いい形で勝つことができた」

 球威と気迫で巨人打線を圧倒した。カーブ、スライダーなどでカウントを整え、最速155キロを計測した直球とカットボールを決め球に相手打者をねじ伏せた。先頭打者の出塁を許したのは5回のみ。着実にスコアボードに9個の0を並べた。

 「少し勇気のいるボールですが、有効に使えたと思う」。4回2死一、二塁、アンダーソンへの決め球には128キロのカーブを用いた。カーブの制球力こそ藤浪の状態を物語るバロメータ。上半身と下半身がかみ合ったフォームでないと、制球できない球種だからだ。

 その安定したフォームは「原点回帰」で取り戻した。4月25日の広島戦後、登板間の調整に内野ノックを受けて送球を繰り返すメニューを採り入れている。大阪桐蔭高時代から「内野手のように下半身を使ってリズムよく投げる投げ方を覚えさせたい」という西谷浩一監督の方針でフォームを崩した際に取り組んだ練習法。その効果を如実に表したのが、この日のカーブだった。

 藤浪が自身ベストゲームに挙げる試合は、昨年のCSファイナルS初戦の巨人戦。7回1失点の内容よりチームを勝利に導いた「結果」を重視する。「(ベスト投球は)そんなに無いですけど、あの試合は前年のCSで(広島に)負けている悔しさもあったし、負けられないプレッシャーもあった。短期決戦は目の前の試合で負けられない。その試合で勝つことができたので」。将来、猛虎のエースになる男。そこに近付くごとに、「巨人戦」の登板機会が増えるのも宿命だ。いや難敵相手だからこそ、実力を最大限に発揮できるのかもしれない。3連敗中という苦境で臨んだ巨人相手の「負けられない試合」でも、真価を発揮した。まさにエースの働きだ。

 「1つのプレゼントとして、いいものになったと思う」。21日は母・明美さんの51歳の誕生日。記念球が最高の贈り物になった。そして…。「明日は横山さんがいい投球をしてくれると思うので、期待していてください」。新人左腕には最高!?のエールを送った。

 ▼母明美さん(スタンドで観戦)本当によく頑張ったと思います。1点差だったので試合終了までドキドキしていました。本当に一番いいプレゼントになりました。

 ≪654日ぶり巨人斬り≫藤浪が2安打でプロ初完封。巨人戦勝利は初対戦の13年8月4日(東京ドーム)以来654日ぶり2勝目。初の甲子園G倒で、これで対セ5球団すべてから本拠地勝利を挙げた。

 ≪毎回K&1―0は虎では江夏以来≫阪神投手の巨人戦1―0完封は昨季5月11日のメッセンジャー以来で日本人投手では01年8月29日の井川以来14年ぶり。毎回奪三振も自身初で、チームでは89年4月22日ヤクルト戦の池田親興以来26年ぶり11度目(7人目)。1―0完封では過去に江夏豊が68年の中日戦と70年の広島戦でマークしているが、巨人戦では藤浪が初めて。

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