広島新井、元本拠・甲子園で最下位脱出弾も…左手負傷し病院直行

[ 2015年5月10日 07:02 ]

<神・広>真っ赤に染まったレフトスタンドからの声援に帽子を掲げて応える新井

セ・リーグ 広島10―0阪神

(5月9日 甲子園)
 今季初の5連勝。そして3月31日以来、39日ぶりに最下位から脱出した。沸き返る広島ベンチ。しかしその輪の中に、新井の姿はなかった。試合中に大阪市内の病院へ。「左手中指伸筋腱脱臼」と診断された。殊勲の4番打者は、手負いのヒーローになってしまった。

 待望の一発は、1―0で迎えた5回2死二塁で飛び出した。カウント3ボールから、新井は阪神・能見の真ん中低めの138キロ直球をしばき上げた。左中間への貴重な2ランは、待ちに待った今季1号。それも昨年までの7年間、本拠地としてプレーした聖地で放った。甲子園での一発は13年7月15日の巨人戦以来、実に663日ぶりだ。

 「1、2打席目のチャンスで凡退したので、絶対にランナーを還すという強い気持ちでいった。追加点が欲しい場面だったので良かった」

 広報を通じたコメントにも喜びがにじむ。38歳。昨年限りで阪神に自由契約を申し入れ、入団から9年間を過ごした古巣・広島に復帰した。「自分は挑戦者。初心に帰って、泥だらけになりながら若手と競争する」。年俸は10分の1の2000万円。そんな「最後の新天地」での復帰1号は、開幕から33試合、96打席目。縦じまから、再び真っ赤に燃えるユニホームへ。広島の一員としての一発は07年10月7日ヤクルト戦(神宮)以来、2771日ぶりだった。

 しかし7回、事態が暗転する。1死二、三塁で中前に2点適時打。計4打点で、16安打10得点の打線をけん引した。しかしこの打席で左手を痛め、その裏の守りからベンチに退いて病院に直行した。今後について球団は「あす(10日)の状態を見て判断する」と発表。緒方監督は「少し痛みがあるようなので、あすは休ませてもいい。もともと、9連戦のどこかで休ませようと思っていたから」と話した。

 午後8時前。病院から宿舎へと戻った新井は、包帯を巻いた左手を報道陣に見せながら「大丈夫、大丈夫」と短い言葉を残した。ようやく上昇気流に乗ってきた広島。今は、新井のその言葉を信じるしかない。

 ▽伸筋腱脱臼 指を伸ばす筋の脱臼で、指骨の拳側を通る伸筋腱を支える矢状索(しじょうさく)が破損して、伸筋腱が横にずれている状態。握り拳をつくると痛みが生じる。軽症の場合は患部を固定して自然治癒を待つが、程度によっては修復手術を行うこともある。昨季、巨人・高橋由は右手中指を痛めて9月2日に手術。以降のシーズンを欠場している。

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