借金9なら過去にVなし!広島・小窪 人生初満弾で崖っ縁救った

[ 2015年5月3日 07:44 ]

<ヤ・広>8回1死満塁、代打・小窪(右)は本塁打を放ちカープファンで埋まるスタンドを背に石井コーチとハイタッチ

セ・リーグ 広島6-2ヤクルト

(5月2日 神宮)
 代打男がひと振りで勝利を引き寄せた。広島・小窪哲也内野手(30)が2日のヤクルト戦(神宮)で野球人生初のグランドスラム。2―1の8回1死満塁で代打に立ち、赤ヘル党で埋まる左中間席へ今季1号を運んだ。投げては先発・ジョンソンが8回を5安打1失点(自責0)に抑え、堂々の3勝目だ。赤ヘルはようやく今季10勝に12球団最遅で到達。反攻へ、鯉のぼりの季節はこれからだ。

 高い前評判とは裏腹に、負ければV確率0となる借金9の危険水域目前の一戦で踏み止まった。立役者は小窪だ。ひと振りで試合を決める値千金のグランドスラム。打のヒーローは、神宮の左翼側半分を赤一色に染めたファンから大喝采を浴びた。

 「初球から行くのが自分のスタイル。狙っていました。外野フライでも1点と思って狙い球を絞った。まさか入るとは。ホッとしました」

 2―1で迎えた終盤8回だ。1死満塁の好機で途中出場の野間に打席が回り、ヤクルトは左の中沢にスイッチ。緒方監督は迷わず代打・小窪を告げ、「とにかく思い切って打て」とゲキを飛ばして打席に送り出した。

 その初球だ。138キロの真ん中高め直球をジャストミートすると、打球は左中間席へ。「初めて。学生時代も経験がない」という値千金の満塁弾は今季1号。「緊張したけど、自然に入れた。神宮であの場面は奮い立ちますよ」。勝利を決定づける一発に声が弾んだ。

 一昨年オフに結婚した6歳年上の姉さん女房・真由さんの支えがあって今がある。長年悩まされた右肘を12年に手術。当時から献身的に尽くしてもらい、ハワイでの挙式後も「トレーニングが大事でしょ。気を遣わなくていいよ」と旅行日程の短縮を快諾。練習に励む夫をサポートした。

 3・27開幕を赤飯で祝って臨んだ8年目。4月12日には「節目」の30歳となった。直前に降格を経験したが2軍で復調。昨季、代打で打率・389を残した通り、今季も6打数3安打の打率・500と勝負強さは天下一品だ。「今は初球から思い切って打つ。それが自分の仕事」。真由さんのためにも定位置獲りをあきらめない。が、割り切り、ひと振り懸ける存在感もまた小窪の魅力だ。

 「試合を決める一打を打ってくれて嬉しかった」。緒方監督は殊勲打の背番号4を絶賛。一方では走塁やバントでミスが起き「勝ったけど反省しないといけない」と手綱を締めることも忘れなかった。最大借金8からのVは07年の日本ハムがあるが、借金9となると前例がなくなる瀬戸際の一戦に勝った。まだ死なない。まだイケる。

 ≪代打満塁弾は今季初≫小窪が代打でプロ入り初の満塁弾。今季両リーグ7本目(セ5、パ2)だが、代打は今回が初めて。チームの代打満塁弾は13年5月12日の中日戦(マツダ)で丸が4回に朝倉から打って以来2年ぶり19本目。

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