現役選手唯一の立大出身、楽天・戸村が初完投!指揮官「男になった」

[ 2015年4月27日 05:30 ]

<楽・ロ>プロ初の完投勝利にガッツポーズする戸村

パ・リーグ 楽天7―1ロッテ

(4月26日 コボスタ宮城)
 全身に広がる喜び。最後の打者、今江を投ゴロに仕留めた楽天・戸村は右拳を握り、雄叫びを上げた。プロ6年目で初めての完投勝利。お立ち台では笑顔を振りまいた。

 「最高。もう、その一言です。うまくボールを低めに集められました」

 9回まで102球で無四球、6安打1失点。シュートで右打者の内角を突いたことで、スライダーも生きた。8回にクルーズに2ボール1ストライクからソロを浴びたが「四球より打たれた方がいい」と切り替え、今季2勝目を手にした。

 長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)らを輩出した立大から09年ドラフト1位で入団も過去5年で7勝。昨季は未勝利に終わった。「ドラ1」のプライドがあり、昨年までは「打者どうこうより、自分が満足する球を投げたい」と考えていた。スマートな外見とは対照的に我が強く、首脳陣の助言も素直に受け入れなかった。マウンドで打たれると不安げな表情を浮かべることから、あだ名は「ぼっちゃん」だった。

 意識を変えたのは元同僚で先輩の岩隈(マリナーズ)の言葉。毎年恒例で1月に行う米国での合同自主トレで「投手は投げたい球なんて考えず、対打者を考えて投げなければいけない」と指摘された。自分が満足する球を投げることよりも、打者の嫌がる投球を意識し「落ち着いて考えながら投げられている」と言う。岩隈から骨盤の動きなど技術的な助言も受け、フォームも安定した。

 大久保監督は2軍監督だった13年夏の関東遠征中、新横浜駅であいさつを怠った戸村を仙台に強制送還させたこともある。頻繁に面談も行うなど親心で接した27歳の成長に「ぼっちゃんが男になったね」と目を細めた。

 現役選手で唯一の立大出身である戸村は言う。「去年までは我が強かったが、今年は大人になったと思います」。かつての「ぼっちゃん」は、「男」として楽天投手陣の屋台骨を支えている。

 ▼戸村 健次(とむら・けんじ)1987年(昭62)10月20日、埼玉県生まれの27歳。立教新座では甲子園出場なし。立大では1年春から登板して通算10勝を挙げた。09年ドラフト1位で楽天に入団。3年目の12年4月4日ソフトバンク戦でプロ初勝利をマークした。通算成績は42試合で9勝9敗、防御率3・99。1メートル85、76キロ。右投げ右打ち。

 ▼楽天高村投手コーチ(戸村について)内角に投げ切れたことが全て。完投も自信に。

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