西武24年ぶり開幕5連勝 「おまえも打てや!」におかわり弾

[ 2015年4月3日 05:30 ]

<楽・西>5回1死一塁、中村は左越えに2打席連続となる2ランを放ちベンチの出迎えに笑顔を見せる

パ・リーグ 西武6-1楽天

(4月2日 コボスタ宮城)
 2打席連発にも、5連勝にも、高揚感などなかった。試合後、西武・中村は待ち受ける報道陣の前を素通りしようとした。記者に囲まれると「何かありましたか?」と無表情で逆質問。事もなげに初本塁打を振り返った。

 「ベンチから、声援というか…。あおられました」

 浅村の右越えソロで同点に追いついた直後、1―1の4回無死だ。ベンチの脇谷、渡辺から「おまえもホームラン打てや!」という声を背中に浴びながら打席に立った。そして美馬のフォークを軽々と左翼席に。フェンスによじ登った左翼手・岡島の頭を越える滞空時間の長い一発。5試合目にして放った今季1号が、決勝弾になった。

 さらに3―1の5回1死一塁から、今度は弾丸ライナーで左越え2ラン。逆風が吹く状況をものともせず左翼席への連続弾を放った。4回に今季初打点を挙げたばかりの主砲が、3安打3打点でチームを91年以来、24年ぶりの開幕5連勝に導いた。「(1号は)なんとかもう1点という思いでした。みんないい雰囲気できている」と手応えを口にした。

 3年ぶりの開幕1軍を迎えた中村。過去2年間は左膝の故障、背中の違和感で出遅れた。昨年10月、違和感と戦っていた右肘の手術に踏み切り、今年も開幕に間に合うか心配はあった。それでも田辺監督は昨秋、新体制をスタートさせるに当たり「4番・中村」を据え置く覚悟を決めた。「そこは動かしようがない」と復帰を信じた。開幕から2試合は6打数無安打と沈黙したが、29日のオリックス戦(西武プリンスドーム)でコンパクトに振り抜く意識で左前に2安打。徐々に調子を上げ、自身15度目の2打席連続アーチを放った。

 2点リードの4回2死の守備では、三塁フェンス際まで飛球を追った。グラブに当てながらも落球。三塁手は両膝に手をつき、がっくりと頭を下げた。「すごく悔しかったです。目測を誤って、慌てた」と唇をかんだ。まだまだ5連勝。この男は勝ちに飢えている。

 ≪91年は8連勝≫

 ★西武の前回開幕5連勝 91年4月13日のダイエー戦(平和台)、序盤から両チームが点を取り合う乱打戦。3回には清原の2ランで突き放すも、先発・渡辺久が6回0/3を10安打6失点と乱調。6―6で迎えた延長11回に秋山が決勝3ランを放ち、9―8で4時間18分の死闘を制した。この試合で田辺監督は「9番・遊撃」で出場し5打数1安打1打点。この連勝は最終的に8まで伸びた。

 ≪1試合2発は28度目≫中村(西)が4、5回に1、2号を連発。自身1試合2本塁打は昨季8月23日の日本ハム戦以来通算28度目。2打席連続は15度目だが2イニング連続は08年8月27日楽天戦(4、5回)、10年 9月10日ロッテ戦(6、7回)に次いで3度目。昨季は故障のため1号はチーム28試合目と出遅れたが、最終34本で同僚のメヒアと本塁打王を分け合った。今季はチーム5試合目と早いペース。過去に中村が開幕5試合までに1号が出た4度は全て本塁打王を手にしているが今季はどうか。

続きを表示

この記事のフォト

2015年4月3日のニュース