先月13歳で天国へ…DeNA関根 亡き従姉妹に届け開幕アピール弾

[ 2015年3月18日 05:30 ]

<D・神>7回1死、関根は二者連続となる右越えソロを放つ

オープン戦 DeNA6-1阪神

(3月17日 横浜)
 大切な人のために、必死に徳俵で踏ん張った。「2番・左翼」で先発出場したDeNA・関根がオープン戦初本塁打の右越え弾を含む3安打。前日まで打率・105と結果を出せず、2軍降格のピンチだっただけに「自信よりもホッとした」と表情を引き締めた。

 2月11日。従姉妹(いとこ)の佐藤美蘭さん(享年13)が難病の脳幹出血で天国に旅立った。「近所に住んでいてよく遊んだ。いつも元気で明るかったのに…」。美蘭さんは昨年5月に体調を崩して入院し、日に日に病魔にむしばまれた。歩けなくなり、耳が聞こえなくなり、最後は左手しか動かなくなった。それでも関根に会うと目を輝かせた。「(利き手の)右手が動かないから左手で“がんばって”って書いた紙をくれたり、僕があげたユニホームを他の人が触ると怒るぐらい大切にしてくれた」

 亡くなった翌日。愛知・蟹江町で「眠っているようだった」美蘭さんの顔を見つめた。沖縄にとんぼ返りして練習に打ち込んだが、精神的にはつらかった。宿舎で一人きりになると、「自分にできることはなかったのか」と泣き崩れた。

 前へ進むしかなかった。タイミングの取り方に試行錯誤し、キャンプ中にすり足から一本足打法へ打撃フォームを改造。この日の左腕・能見との対戦で、初回にヒットエンドランで三塁内野安打、3回にも右前打としぶとさも見せた。中畑監督も「これが続けば本物」と評価する働きだった。

 目標は3月27日の開幕戦・巨人戦(東京ドーム)での先発出場。「生きていることの幸せを感じています。(亡くなって)49日は魂が近くにいると聞いた。美蘭はそばで見ている。だから、開幕戦は絶対スタメンで出たい」。悲しみを乗り越え、思いを成就させる。

 ◆関根 大気(せきね・たいき)1995年(平7)6月28日、愛知県生まれの19歳。東邦で2年秋から「1番・中堅」の定位置をつかむが、甲子園出場はなし。俊足巧打で長打力にも定評があり、高校通算33本塁打。13年ドラフト5位でDeNAに入団し、1年目の昨季は10月4日の巨人戦(東京ドーム)でプロ初打席初安打デビュー。1メートル74、78キロ。左投げ左打ち。

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