チェン、開幕ローテ決めた…戦力外男に春!G斬り6回無失点

[ 2015年3月16日 05:30 ]

<日・巨>3回表1死から松本哲の一塁へのゴロで懸命にベースカバーに走るチェン

オープン戦 ロッテ6―0巨人

(3月15日 QVC)
 2月の石垣島キャンプで、チェンの投球を見たロッテ・伊東監督は思わず「掘り出しものだ」と言った。その実力は本物だった。昨季でDeNAを戦力外となった24歳が、巨人打線を相手に6回3安打無失点に抑えた。

 「QVCマリンで投げるのは初めてだけど、投げやすかった。きょうが1軍初勝利ですね~。巨人は有名な選手がいっぱいだから自信になります」。台湾出身の左腕は、人気漫画「ワンピース」で勉強中という日本語で喜びを口にした。

 決め球となったのは、「台湾球界のレジェンド」西武の元エース、郭泰源氏直伝のフォークだ。初回2死一、二塁のピンチを迎えたが、右打席に入ったセペダに対し、内角低めに切れ込むような軌道で空振り三振。4回も先頭のセペダを同じく内角低めのフォークで再び空振り三振に斬った。6三振のうち、4個をフォークで奪った。

 シーズン中は休学しているが、台湾体育大学でスポーツ心理学を専攻する現役大学生。10年に大学台湾代表に選出された時の投手コーチが、日本で通算117勝を挙げた郭泰源氏だった。「フォークの握りと投げ方を教えてもらった。今は変化球で一番自信がある」とチェンは胸を張る。

 11年にDeNAに入団したが、1軍登板は昨季の1試合だけ。潜在能力の高さは評価されていたが、外国人枠の関係で昨年10月に戦力外通告を受けた。「DeNAには感謝しているけど、やっぱり悔しかった」。11月にロッテの入団テストに合格。「ロッテに恩返しする」と心に誓った。

 文句なしの快投に、伊東監督は「切れのある球を投げていた。こういうタイプの左腕がいないので、1軍の戦力として頑張ってほしい」と称賛し、落合投手コーチは「開幕ローテーションに入っている」と明言した。「秘密兵器」として、27日からのソフトバンクとの開幕カード(ヤフオクドーム)で登板する可能性も出てきた。

 試合後、報道陣から「疲れてない?」と聞かれると「チェンチェン(全然)ダイジョウブ!」とダジャレで即答。台湾出身の雑草左腕の逆襲が始まる。

 ◆チェン(陳冠宇=チェングァンユウ)1990年10月29日、台湾出身の24歳。穀保家商高から台湾体育大に進み同大在学中の11年2月に横浜入団。左肘を痛めるなどして12年1月に育成選手として再契約。14年7月11日に3年ぶりに支配下登録され、同16日の広島戦で1軍初登板を果たした。オフにDeNAを戦力外となり、ロッテの秋季キャンプでテストを受け合格。1メートル79、75キロ、左投げ左打ち。

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