藤浪、157キロ3連発!後輩・森はタメ口も脱帽「球速いわ」

[ 2015年3月7日 05:33 ]

<神・西>7回、157キロの直球で森を左飛に打ち取る藤浪。甲子園春夏連覇バッテリーの初対決は先輩が貫禄を見せた

オープン戦 阪神4―0西武

(3月6日 甲子園)
 157キロ、3連発だ。阪神・藤浪晋太郎投手(20)が6日、西武とのオープン戦(甲子園)に4番手で救援登板し、大阪桐蔭時代にバッテリーを組み、2012年の甲子園で春夏連覇を達成した西武・森友哉捕手(19)との「プロ初対決」が7回に実現。1ストライクから自己最速タイの157キロを3球連続で投げ込み、左飛に仕留めた。10、11日に欧州代表と対戦する侍ジャパンへの合流前最後の登板で、先輩の貫禄、格の違いを示した。

 大阪桐蔭時代に2人で栄光を刻んだ甲子園に再び湧き起こった観客の拍手。凡退した森は三塁側ベンチに戻る途中でマウンドを横切り、1学年先輩の藤浪に「球、速いわ」と声を掛けた。高校時代同様のタメ口。スタンドの歓声で言葉までは聞き取れなかったが、藤浪は満面の笑みで後輩の背中を見送った。

 藤浪 打たれると(森に)何を言われるか分からないんでね。(捕手の)梅野さんの計らいもあったので、真っすぐで押して、しっかり抑えようと思った。思い切り投げました。

 大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を成し遂げたバッテリーが、本塁からマウンドまでの18・44メートルを隔てて、プロとなって今度は投手と打者で対峙(たいじ)した。

 打席に入った森は、ヘルメットのひさしに手をやると、ほほ笑んでいた。その初球。153キロの直球で空振りを奪った藤浪も、少し頬を緩めた。「やっぱり、いいスイングするな」。2人とも対戦を心の底から楽しんでいた。

 その証拠に、マウンドに上がった6回には最速153キロだった藤浪の直球が、森の打席で剛速球に変わった。ギアをトップスピードに入れた2球目は自己最速に並ぶ157キロ。またも森のバットが空を切る。3球目も157キロでファウル。そして4球目も、真ん中高めの157キロで左飛に仕留めた。

 森 直球だけでくると何となく分かった。それなのに振り遅れるぐらい速かった。打ちたかった…

 かつて、森は藤浪をこう評した。「ボールの回転は決してきれいな方ではない。ストレートがシュート回転したり、スライドしたり…。(高校日本代表で)受けた大谷さん(日本ハム)とは対極でした」。荒れ球ゆえに、藤浪の投球を捕球するのは難しく、突き指したことも一度や二度ではない。換言すれば、藤浪の「恋女房」だったからこそ、キャッチング能力が高まった。そして打者として藤浪を見た場合、「球筋がぶれる分、ミートポイントがずれるし、打ちにくいボールなんです」。それは藤浪が、プロ1年目から連続2桁勝利を挙げたことが実証している。

 森に先輩の貫禄を示し、3回を2安打無失点に抑えた藤浪は「空振りも取れている。差し込んでファウルも取れているし、いい打球は打たれていなかった」と手応え。一方、3打数無安打と自慢の打力を発揮できなかった森は「1軍に残れれば、交流戦で(藤浪に)リベンジしたい」と言った。この日は藤浪が勝って、森が負けた。ただ、本当の勝負はこれから。2人の対峙は、新たな「平成の名勝負」となる可能性を十分に秘めている。

 ▼大阪桐蔭・西谷浩一監督 藤浪はストレート一本勝負でしたが、今の力を試したかったのでしょう。1年早くプロに入った投手が現時点では勝ったということ。高校時代はシート打撃や紅白戦で対戦がありますが、半分以上は森が藤浪を打っていたイメージです。森はまだレギュラーを獲っていない立場。(157キロは)藤浪から「頑張れよ」というメッセージだったのではないでしょうか。

 ▼西武・田辺監督(阪神・藤浪について)森のところで明らかにギアを上げていた。大したピッチャーだね。

 ▼阪神・梅野 ここで変化球行ったら、藤浪、先輩やしなあ…と。晋太郎もギアの入り方が違っていたし、真っすぐ1本で行きたいなと。ベストな球を投げて、打てるか打てないか。先輩の意地を見せられて良かった。

続きを表示

この記事のフォト

2015年3月7日のニュース