【東尾修氏が松坂分析】連動性欠くフォーム 指先の加減だけで制球

[ 2015年3月5日 10:00 ]

<神・ソ>阪神打線を相手に力投する松坂

 大きな注目を集めたソフトバンク・松坂の日本復帰初登板。西武時代の恩師である東尾修氏(64=スポニチ本紙評論家)が投球フォームについて解説した。厳しく指摘したのは踏み出した左足が着いた時に、左膝が外に開いている点。実戦初登板という点を割り引いても、課題は多く残った。

 正直言って、「うーん」と首をひねる投球だ。力を入れたのは3回のゴメス、マートンを迎えた場面だけだったが、投球フォームに連動性、しなやかさがなかった。

 メジャーで股関節を痛め、肘の手術もした。年齢も重なり、西武時代と同様のものは求められない。立ち投げに近かったのも実戦初戦の影響だろう。だが、一番気になったのは左膝だ。

 踏み出した左足が着いた時に膝が割れ、外に力が逃げている。これだと「左肩が早く開く→右肘がついてこない」と悪循環になる。右打者の内角、左打者の外角に抜けた球が多くなるのは当然だ。体の中心線から腕の位置が離れてしまい、極端に言えば、指先だけで加減して制球するしかない。フィニッシュも、左腰に巻き付く形にならないのもそのためだ。

 膝の割れを防ぐには、左足を踏み出していく過程で、内転筋を意識すること。内から絞る意識がないと、バタッと着地する。上から着地すれば外に力は逃げやすい。3回に鳥谷の中前打の後、2番の上本に2ボールから簡単にエンドランを決められた。打者からすれば体が早く正対するから、タイミングを合わせやすくなる。

 キャンプ終盤に右手にマメができて、投球練習が満足にできなかった影響もあるだろう。ただ、キャンプ中盤に良い方向にいっていた投球フォームが見られなかったことは気がかりではある。

 無失点という結果は関係ない。打者は調整過程だし、阪神は大輔がどんな球を投げるかを見ていた。スコアラーなどの情報もそろえば「現実の松坂大輔」を見て対策してくる。シーズン中に自分の投球フォームを意識しては投げられない。

 本人もポイントは分かっている。気持ちが入って劇的に変化するタイプの投手。残り3試合程度の実戦で「変わり身」を期待してみたい。

続きを表示

2015年3月5日のニュース