大谷 3年目進化はチェンジアップ 1球で凡打、完投数増やす

[ 2015年2月18日 06:00 ]

<日本ハム・韓国KIA>2回2死、イ・ジョンファンをチェンジアップで三ゴロに打ち取る大谷

練習試合 日本ハム―韓国・KIA

(2月17日 名護)
 チェンジアップが真のエースへの鍵になる――。日本ハム・大谷翔平投手(20)が17日、韓国・KIAとの練習試合に先発し、3回をわずか38球で無安打無失点、6奪三振と圧巻の投球を見せた。今季2度目の実戦で最速154キロをマーク。昨秋から再び取り組むチェンジアップでも相手打者を翻弄(ほんろう)した。開幕投手大本命の二刀流右腕が3・27へ着々とステップを踏んでいる。

 ゆったりと足を上げ、リリースの瞬間にだけ力を込めた。3回2死一塁。大谷は最後の打者を真ん中高めの直球で詰まらせ、二ゴロに打ち取った。球速は146キロ。表情を崩すことなく淡々とベンチへ戻る姿には、エースの風格が漂っていた。

 「あまり力を入れないようにしながら投げた。真っすぐの回転や球質が良かった。他の球種も良く、コースにも決まっていた」

 全てセットポジションから全球種を投げ、3回を無安打無失点。初回を3者連続三振で滑り出すなど打者10人から6三振を奪った。わずか38球。韓国プロ野球で2年連続で下位に低迷するKIAの打者を力で圧倒したが、この日の収穫はほかにもあった。

 「早く追い込んで、試したい球を試したかった」。1点リードの2回2死で左打者を迎えた時だ。初球に151キロの直球でストライクを取ると、2球目は真ん中高めに甘く入ったが、タイミングを外して三ゴロに。「試したい球」とはチェンジアップだった。球速は130キロで、直前の直球とは21キロの緩急差。厚沢投手コーチは「僕の中で一番、大きかった。彼の球種の中で(打球を)前に飛ばして打ち取る球はなかったからね」と確かな手応えを口にした。

 大谷と言えば、日本球界最速162キロの直球のほかに、フォーク、スライダー、緩いカーブもあるが、切れ味鋭く、いずれも空振りやファウルを取る球種といえる。一方、チェンジアップはタイミングを外す球種。落差はないが、1球で簡単に打ち損じを誘うことができる。大谷の剛速球があれば、なおさらだ。

 チェンジアップは1年目から投げていたが、制球が悪いために実戦で使うことは少なく、昨季は一度も投げなかった。昨年の秋季キャンプから再び練習。厚沢コーチから「きょう投げてくれ」と指示を受け、1年半ぶりに実戦で投じた右腕は「浮いたけど“抜け”が良かったし、タイミングを外せていたので良かった」とうなずいた。

 昨季は11勝を挙げたが、完投数はわずか3。最後までマウンドに立ってこそ「エース」だということを自覚しているだけに、チェンジアップを効果的に使えるようになれば球数が減り、完投数の増加にもつながる。

 3月27日の楽天との開幕戦(札幌ドーム)から逆算して登板スケジュールが組まれており、次回登板は中6日で24日の紅白戦(名護)。完璧な投球をしても「きょうは足の速い走者が出るシチュエーションがなかった。無死で走者を背負った時の投球をしたい」とすぐに次の課題に目を向けた。横滑りの新スライダー、ワインドアップに続き、20歳の怪物がまた新たな形を見せた。

 ▼KIA・中村武志バッテリーコーチ(昨季までロッテに在籍)去年より風格がある。コントロールが良かった。まだまだ伸びる。末恐ろしいね。

 ▼ロッテ・高木晃次スコアラー チェンジアップを投げていたね。追い込んで浮く球も少なかったし、きっちりコースに投げられていた。

 ▼西武・亀井猛斗チーフスコアラー 左足の着地を柔らかく使おうとしていたように見えた。バランス重視の投げ方だけど、要所で三振を取れるスタイルだった。

 ▼ソフトバンク・高島覚スコアラー あの緩い球の使い方とか出来上がっている感じがする。素晴らしい。

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