【球春インタビュー】ヤクルト真中監督 テーマは「自主性」選手信じる

[ 2015年2月18日 10:00 ]

「優勝」と記した色紙を手にする真中監督

 注目の野球人の本音に迫る「球春インタビュー2015」。第3回は、今季からヤクルトの指揮を執る真中満監督(44)。チームは日本ハムから大引啓次内野手(30)、ロッテから成瀬善久投手(29)をフリーエージェント(FA)で獲得するなど、積極補強を敢行。2年連続最下位からの巻き返しへ、「自主性」をテーマに掲げた春季キャンプについて、12球団最年少監督の本音を聞いた。

 ――春季キャンプも第3クールを終了。ここまでを振り返って。

 「自分のイメージしているように進んでいるな、というのが第一印象」

 ――「自主性」をテーマに掲げてキャンプをスタートした。

 「キャンプに入る前のミーティングで“周りに先輩がいるから練習を終われないとか、周りに流されるようでは自分の力にはならない”という話をした。練習に取り組む姿勢を見ていると、目的を持ってやっていることが伝わってくる」

 ――強制的な夜間練習は廃止されたが、若手は居残り練習に励む姿が目立っている。

 「本当に理想。最初は自主性ということで練習量を心配したけど、選手がよく理解している」

 ――ここまでで目立っている選手は。

 「杉浦かな。昨年キャンプで右肘をケガ(じん帯部分断裂)してシーズン最後しか働けなかったという思いがあるだろうし、ドラフト1位で入ってきた責任感もあるだろう。球の意図もしっかりしているし、低めに投げようという意識も強い。期待したい選手だね」

 ――成瀬がロッテからFA移籍。先発枠争いは激しさを増す。

 「競争意識というか非常に投げ込んでいる選手もいるし、何とかしようという思いも伝わる。ただプロなので投げてりゃいいというものではないし、厳しいようだけど結果が伴わないといけない」

 ――内野は日本ハムから大引がFAで加入した。

 「大引が入ることで1軍に残る確率もグンと低くなる。森岡、谷内、西浦らが必死に取り組んでいるのが伝わる。森岡なんか同い年だし、昨年遊撃で一番試合に出ていたから、一番刺激になっていると思う」

――バレンティン、ミレッジの両外国人が故障明けと、外野のポジションも不透明。

 「比屋根、上田、飯原のほかにも荒木、松井、田中浩を含めてみんなにチャンスがある。奮起して何とかという思いでやってくれるとチームとしては底上げできるのかな」

 ――理想とするチームの形とは。

 「選手任せ。選手が自分たちで考えて動いてくれるのが一番の理想。実際は僕だったりコーチが動かなくちゃいけないけど、僕らが指示を出す前に選手が考えて自分たちで動いてほしい」

 ――テーマに掲げる「自主性」が今後も必要になる。

 「まさにシーズン中も“自主性”。ポジションも自分で考えて動く。最初からベンチを見てどっち行くんですか、というのは理想ではない」

 ――それは自身の現役時代の経験からくるものか。

 「そうだね。僕の現役時代も野村(克也)監督とかはイメージ的に拘束をするようなイメージだけど、細かい指示を出さずに好きにやらせてもらった部分もあった」

 ――監督としての信念、貫きたいことは。

 「選手を信頼していきたい。シーズンは長いので、もちろん調子の良い悪いは出てくると思う。でも選手を信頼して最後まで諦めずに戦いたいという思いが強いね。どうしても悪いところばかり出て文句も言いたくなるけど、そこは信頼関係なので、なるべくいいところを見つけるようにしたい」

 ――監督として初めて迎えるキャンプとなる。

 「考えることが多いので、ある意味疲れるけど、体力的にはコーチの方が動くので大変なのかな」

 ――疲れを癒やしているものは。

 「休日はサウナ。あとは…パンツ」

 ――パンツとは。

 「包帯パンツ(久保田スラッガー社製のスポーツアンダーウエア)という包帯生地でできているやつで、柔らかい感じがいいんだよね。ようやく求めているものに出合えたよ。あとは部屋では本を読んだりしているかな」

 ――それでは最後に、シーズンの目標をお願いします。

 「もちろん優勝だよ。若い選手が多いし、爆発的な力を発揮する可能性も十分ある。若い力に期待して飛躍できるように、優勝を狙っていきます」

 ≪35年ぶりなるか≫ヤクルトは13、14年と2年連続最下位に低迷している。ヤクルトで前年最下位を引き継いで新監督となったのは08年高田監督まで8人いる。うち就任年にAクラスに引き上げたのは、61年砂押監督3位、80年武上監督2位と2人だけ。真中監督が今季3位以上なら35年ぶりチーム3人目、優勝すれば初めてになる。ちなみにヤクルトで優勝経験のある監督は3人いて、初優勝まで広岡監督が2年、野村、若松両監督は3年を要している。

 ◆真中 満(まなか・みつる)1971年(昭46)1月6日、栃木県生まれの44歳。宇都宮学園(現文星芸大付)では3年時に春夏連続で甲子園出場。日大を経て、92年ドラフト3位でヤクルト入団。4度の日本一に貢献した。08年に現役引退。通算成績は1368試合で打率・286、54本塁打、・335打点、64盗塁。09年にヤクルト2軍打撃コーチに就任し、2軍監督、1軍チーフ打撃コーチを歴任。昨年10月8日に1軍監督に昇格した。1メートル70、85キロ。左投げ左打ち。

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