ロッテ益田 魔球ワンシームで空振り量産 シートで打者お手上げ

[ 2015年2月12日 05:30 ]

シート打撃で大松にバッティングをさせない益田

 ロッテの益田が、シート打撃でドラフト4位・寺嶋(創価大)に投じた初球だ。球速は135キロ。ツーシームに似た軌道から手元で外角低めに鋭く落ち、空振りを奪った。大松への2球目も135キロの「魔球」を内角低めに決め、またしてもバットが空を切った。

 魔球の正体を「ワンシームです」と明かした。「実は昨季の終盤から投げ始めました。落ちるシュートという感覚です」

 体感したことのない軌道に打者も困惑した。大松は「ツーシームのような回転だけど、どっちに変化するか分からない。(捕手の)田村に“今の何?”って聞いちゃいました」と証言。寺嶋も「いきなり手元で落ちた。あんな変化は見たことない」と目を白黒させた。

 もともと得意にしているシンカーは変化が大きく球速は130キロ前後。ボール球に手を出させる狙いで投げている。だが、ワンシームは速い上に変化が小さい。昨季終盤には直球とほぼ変わらない145キロ前後をマークしており「走者がいる場面で右打者に食い込ませて引っかけさせたいときに投げる」と説明。捕手の田村も「ストライクゾーンを大きく外れないので、打者も手を出してくる。直球を待っている場面で効果的」と話す。

 打者から見て、縫い目(シーム)が1本線に見える「ワンシーム」は習得が難しい球種とあって、日本人投手でも使い手はレンジャーズのダルビッシュや巨人の菅野ぐらい。益田の場合、縫い目にかけるのは親指だけで人さし指と中指の間に縫い目がくる複雑な握りだ。「昨年8月ぐらいに、サブローさんに教わりました。最初は遊びで投げていたんですけど、9月から試合でも使うようになった」。遊びから生まれた魔球。今キャンプではブルペンで精度アップに取り組んできた。

 1年目の12年はセットアッパーとして新人王、翌13年はセーブ王に輝いたが、昨季は抑えの座を西野に譲り、タイトルなしに終わった。「今季は任されたところでタイトルを獲りたい」。新たな武器を備えた救援のスペシャリストが、3度目タイトル獲得を狙う。

 ▽ワンシーム 人さし指、中指をボールの縫い目(シーム)と平行にし、その指で縫い目を挟むように握って投げるムービングファストボール(動く直球)の一種。ボールの進行方向の面に対し、直球(フォーシーム)は1回転の間に縫い目が4度、ツーシームは2度通過する。ワンシームは縫い目が1本線のように見える。縫い目の角度によって変化が複雑になるため、制球が難しく、高度な技術を要する球種。

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