由伸兼任コーチ 阿部のムチャ振りに応え恥ずかし初ノック

[ 2015年2月9日 05:30 ]

井端(手前)にノックする高橋由兼任コーチ

 今季から打撃コーチ兼任となった巨人・高橋由伸外野手(39)が8日、宮崎春季キャンプで上々のノッカーデビューを飾った。阿部慎之助内野手(35)に求められ、戸惑いつつも快諾。同い年の井端弘和内野手(39)や片岡治大内野手(31)にも打った。選手としてのこだわりを貫きながらも、指導者としての道を少しずつ歩んでいく。

 打撃練習をケージ裏で見ていた高橋由にベンチから一塁の守備に向かう阿部が声をかけた。「高橋コーチ、高橋コーチ!ノック打ってください!」。打撃コーチ兼任の高橋由は、正確に言えば担当外だ。「まじ?まじ?」と驚きと戸惑いの表情を浮かべながらも、清水打撃コーチのノックバットを握った。

 「新鮮といえば新鮮ですが、半分は恥ずかしいという気持ちがある。タイミングがあれば、またやるかもしれません」

 日曜日とあって、球場には多くのファンが詰めかけた。仕掛け人の阿部は「(ノック担当の)コーチが空いていなかったし、(高橋由が)暇をしていたので」と冗談交じりに言ったが、ファン目線を大事にする元主将らしい計らいで実現した。

 阿部に向けた注目の初ノックは、なんと一塁ベースに当たるゴロ。いきなり出た難易度の高い打球に阿部や観客がどっと沸く。ノックバットは通常のバットよりも長く、細い。昨年は臨時コーチを務めた松井秀喜氏が外野ノックの際に空振りや柵越えを放つなど大苦戦。その際、外野で「ヘイ、ノッカー!」とヤジっていた高橋由は、1年後に自分も同じ立場になるとは思っていなかっただろう。思わず「うおぉっ」と声を漏らし「いきなり当たってびっくりした」と冷や汗をかいた。

 約20分間で100球ほど打った。一塁には阿部、二塁には片岡が入り、途中から同い年の井端も加わった。最初こそ慌てたがノックバットを器用に使いこなす姿に川相ヘッドコーチも「普通に大丈夫だった」と感心。選手の評判も上々だ。阿部が「思ったよりちゃんと打てているんだなと思った」と笑いを誘えば、アーリーワークでも高橋由に一日限定ノッカーを要請していた名手・井端は「実戦に近い打球だった。不思議な感じだよね。今まで同い年にも年下にも打ってもらったことはなかったからね。正直、楽しかったよ」と感慨深げに話した。

 高橋由は若手主体の夜間練習にはコーチとして参加しているが、日中は選手としてのメニューが中心。原監督は「やるだろうよ、コーチだから。ただ、自分からやるような積極性はないね」と笑って、さらなるコーチ業にも期待を寄せた。

 初ノックを無事に終えた後は、再び選手に戻り、特打で汗を流した。「(ノックは)役割というかコーチとして勉強する時間。僕にもいい練習になった」と振り返った高橋由。テレビカメラや記者に囲まれ最後は「これって、そんなに騒ぐこと?」と照れ笑いで球場を後にした。

 ▼巨人・片岡(二塁で高橋由兼任コーチのノックを受け)良い回転の打球を打っていただきました。きょうは正面の軽いノックで非常に捕りやすい打球でした。

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