広島ドラ1野間“無限の可能性”8発!「放り込んでみろ」に応えた

[ 2015年2月3日 08:13 ]

フリー打撃で快音を響かせる野間

 広島の日南春季キャンプは2日目を迎えた2日、ドラフト1位の野間峻祥外野手(22=中部学院大)が新井打撃コーチからのアーチ指令に堂々の“8発”回答で応えた。中距離打者という触れ込みをはるかに上回る長打力を披露。緒方孝市監督(46)も驚かせた。新人ながら周囲の若鯉に見劣りしない強打で期待値は上昇の一途だ。

 野間は後方からささやく声を聞いた。「放り込んでみなさい」。声の主は新井打撃コーチだ。3カ所に並んだ打撃ケージの一番右側。カーブマシンに向かった時だった。突然の指令にも動じない。「狙えと言われたので狙ったら、入りました」。1本だけなら偶発かもしれない。3度の2連発を含む計7発を右翼フェンスの外へ打ち込んだ。真ん中の打撃ケージからも放った1本を合わせて計8発。細身に映る体格ながら“狙って打てる”強打を見せつけた。

 「試合では見せないけど、大学でもホームランを打つ練習をしたことがあったので。手が伸びたポイントでしっかり打てば打球は飛ぶし、最初は力を抜いて当たる瞬間に握力を入れる感覚です」

 決して余興でやらせたわけではない。明確な意図を新井コーチは持っていた。「普段の練習からホームランを打つことを体感しておけば試合でも自然と出せる。スイングスピードがあってバットの動かし方もいいから、放り込める」。昨季のチーム本塁打153本はリーグ最多。本塁打王のエルドレッドだけに頼った結果ではない。今回と同じ取り組みを普段から他選手にも課し、感覚を養わせた成果だ。新井流の鍛錬に即座に対応した野間の打撃センスが光る。

 本来ならキャンプ2日目の新人に出す指令ではないだろう。新井コーチが「1日目を見て気になるところは何もなかったから実戦を想定した練習をさせている」と説明したように土台が備わっているから課題のレベルも上がる。「いまここにいる若い選手に混ざっても見劣りしない。広角に打つ打者と思っていたけど、飛ばす感性も持っている」。緒方監督も印象をグレードアップさせた。

 “宿題”ももらった。新井コーチに呼ばれて丸のティー打撃を多方向から見学。「前屈みになる癖がある。丸さんは顔が真っ直ぐ向いて腰も平行に回って軸がしっかりしている。いいところを盗みたい。修正して試合へ入りたい」。実力の片りんが見え、実戦がさらに待ち遠しくなった。 

 ◆野間 峻祥(のま・たかよし)1993年(平5)1月28日、兵庫県生まれの22歳。村野工時代は、3年夏に兵庫大会4回戦で市川に敗れるなど、甲子園出場なし。岐阜県リーグの中部学院大では4年秋に首位打者に輝いたほか、最多盗塁のタイトルも2度獲得した。50メートル5秒8の俊足と遠投110メートルの強肩が武器の外野手。1メートル80、80キロ。右投げ左打ち。

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