安楽 マー君級の威圧感 右肘故障再発防止で“ケガの功名”

[ 2015年2月3日 05:30 ]

ブルペンで熱の入った投球をする安楽

 何度も苦笑いを浮かべた。今キャンプ初のブルペン入り。楽天のドラフト1位・安楽(済美)は「ボールが抜けて笑うしかなかった」と振り返る。捕手を立たせたまま、42球を投げ込んだ。

 「緊張はしなかったけど人間ですし、良いところを見せてやろうと思った」。自然と力んだ。リリースポイントが安定せず、制球がばらつく。納得のいく球は「ゼロ」だった。それでも最速157キロの片りんをうかがわせる力強い直球を披露。視察した西武・福島孝二スコアラーは、コンパクトなテークバックを注視していた。「(右)腕がクニャクニャとしているのをバッターがどう感じるか。タイミングがどうなのか」。打者がタイミングを取りづらいフォームと分析したのだ。

 ケガの功名だった。安楽は2年時の13年秋に右肘を故障。再発防止に向け、昨夏の愛媛大会後からフォーム改造に取り組んだ。テークバックで右腕を大きく後ろに引くことをやめ、ポケットから手を抜くように肘を真上に上げて振り下ろす。打者から見れば球の出どころが見えにくく、いきなり速球が繰り出される。フォームの改造が思わぬ効果を生んだわけだ。

 初めて投球練習を見た大久保監督は「肘は全然大丈夫そうだね」と安心し「威圧感がある。入団した頃の(田中)将大(現ヤンキース)に似ている。雰囲気も」と絶賛した。予定していた直球に加え、スライダーも投げたため、高村投手コーチが慌てて駆けつけ「ストレートだけでいいよ」と声を掛けられる場面もあった。安楽自身は「変化球は前で切るから直球が抜けにくくなる」とスライダーを投じた理由を説明したが「変化球を投げられると証明したかった」と本音ものぞかせた。

 指揮官は「焦らず育てたい」と育成重視の方針を打ち出しているが、開幕ローテーション入りを目標にする18歳右腕は「(目標を)一切変えるつもりはない」ときっぱり。どこまでも向上心あふれるルーキーだ。 

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