西岡「ここまでの危機感は初めて」二塁手奪回へ8時間20分猛練習

[ 2015年2月2日 08:37 ]

投内連係で大きな声を出す西岡(右)と上本

 プロ野球は1日、12球団が宮崎、沖縄の両県で一斉にキャンプインした。阪神では正二塁手の奪回に挑む西岡剛内野手(30)が初日から8時間20分の猛練習を敢行。1月の西宮市、米ハワイの自主トレで7キロのシェイプアップに成功しており、詰めかけた8000人の観衆の前で軽やかな動きを披露した。

 終わらない。まだ終わらない。時計の針は午後5時を過ぎ、日も傾きかけている。ただでさえ曇天の中でのキャンプイン。辺りは少しずつ肌寒さを増してきている中でも、西岡は黙々とサブグラウンドの400メートルトラックを走り続けた。自分より後に来た榎田と山本の方が、先にクラブハウスへと引き揚げてもお構いなし。イヤホンをつけ、サングラスをかけ、自分の世界に入り込んだ。

 走り終え、着替えてジャンボタクシーで帰路に就いたのは午後5時20分。ジョギングの最中、胸に去来したのは逆襲への誓いにほかならない。

 「(練習が長い?)ぼちぼちやりますよ。結果が出たら、状態がいいということなので」

 多くは語らない。それはイコール「言わなくても分かるだろう」という自信の表れだ。1月の自主トレ期間中に、最大90キロだった体重を83キロまで絞り込んだ。当然動きは軽くなり、シートノックや投内連係では素早いフィールディングを見せつけた。組分けでも江越、陽川、伊藤隼、中谷の中に配置され、大声でナインを鼓舞。「意欲だけでレギュラーは獲れないけどね」。はぐらかしながらも、今年7月で31歳になる男が若虎に負けないハッスルぶりだ。

 「2014年の経験が、僕を本気にさせてくれましたね。今まではポジションがあるという安心感があったけど、プロになってここまでの危機感は初めてです」

 前日、沖縄入りした際にも語っていた熱い決意を、そのままグラウンドで体現した。フリー打撃では計91スイングで半数近くをヒットゾーンに運んだ。サク越えも左右両打撃投手から1本ずつマーク。全体メニュー消化後のロングティーでも、福留と並んで必死にバットを振った。おかげで、赤い手袋を装着していた両手のひらは染料がこびりつき真っ赤に変色。まさに“血のにじむような努力”で、もう一度甲子園の二塁に戻る覚悟だ。

 「自分をしっかり見つめてやる。去年は関係者やファンをがっかりさせたので、取り返そうという強い気持ちです」

 男に二言はない。快調に滑り出したプロ13年目の春。真の復活を期す西岡が、まだ寒さの残る宜野座の地を熱気で包み込む。

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