佑ちゃん変わった!直球に切れ 栗山監督「衝撃」開幕投手候補に浮上

[ 2015年2月2日 05:30 ]

ブルペンで気合の投球を見せる斎藤

 スピンの利いた直球で、捕手のミットを心地よく鳴らした。勝負の5年目を迎えた日本ハム・斎藤のこだわりを感じるブルペン投球だった。

 「力が抜けている感じ。それができるようになった。右肩を壊し、思うような投球ができなかったが、少しずつ頭と体の感覚が合ってきた」

 捕手を座らせて66球。変化球はスライダー9球だけ。全てノーワインドアップから投げ込んだ。求めるのは150キロの剛速球ではなく、「空振りやファウルを取れれば有利なカウントになる」という打者が速く感じる140キロの直球だ。

 栗山監督は「初めて見た時以来の衝撃。クーパーズタウンだよ」と興奮を隠せなかった。06年の記憶がよみがえったのだ。夏の甲子園を制した早実のエースと駒大苫小牧・田中(現ヤンキース)がいた日本高校選抜の米国遠征をスポーツキャスターとして追いかけた。野球殿堂博物館がある聖地クーパーズタウンで行われた米国東部選抜戦に先発した斎藤は4回無失点。浮き上がるような直球で8三振を奪った。この残像があるから、監督就任1年目の12年には開幕投手を任せた。

 12年夏に右肩を痛め、昨季は復活の白星を挙げたものの、シーズンを通しては2勝に終わった。今季は何が変わったのか。厚沢投手コーチは「リリースポイントが低くなった」と指摘する。「あいつは力むと遠心力で右腕が遠回りして高い位置で球を離す。角度はつくが、打者が見やすい」とも説明した。マウンドでバランスよく立ち、腕を振って、短い距離を投げる。昨年から反復してきた練習が復帰2年目でようやく実を結んできた。

 開幕投手のダークホースにも浮上した。大谷の大本命は揺るがないが、指揮官は「(ライバルは)まず吉川、そして斎藤」と開幕候補に3人を挙げた。それでも斎藤は目の前だけを見つめた。「周りを見るとぶれる。自分がしっかりとした投球を見せるだけ」。まずは開幕1軍、そしてローテーションの柱へ――。苦難の道を歩んで、右腕はたくましくなった。

 ▽06年の日本高校選抜 同年8月の夏の甲子園で優勝した早実・斎藤、準優勝の駒大苫小牧・田中(現ヤンキース)が中心メンバー。斎藤は同31日にクーパーズタウンで行われた米国東部選抜との開幕戦に先発して4回無失点、8奪三振の好投を見せるなど、2勝を挙げる活躍を見せた。チームは5試合で3勝1敗1分け。同29日にはヤンキースタジアムを訪問し、松井秀喜と対面した。

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