工藤監督 入念アップで独自色 まさに“熱男”動き続けた6時間

[ 2015年2月2日 05:30 ]

スタンドに作られた「おかえり」の人文字をに向かって手を振る工藤監督

 ソフトバンク・工藤公康監督(51)は1日、宮崎生目の杜運動公園での春季キャンプ初日から昼食抜きでの熱血指導を行った。昨年より20分長い1時間20分をかけたウオーミングアップ、毛細血管を増やすことで故障を防止する12分間走を全選手に課すなど、早くも独自のカラーを打ち出した。

 今季のチームスローガン「熱男(アツオ)」を誰より表現していたのが工藤新監督だった。ブルペン視察の直後。初日から生目の杜を埋めた1万7200人のファンの間を縫い、12分間走が行われているグラウンドを目指した。昼食のための休憩も取らず、水を得た魚のように選手たちを追いかけた。

 「ご飯食べなきゃ死んじゃうわけじゃない。なるべく選手を見て、コーチと話していきたい」

 到着したグラウンドでは熱い言葉を響かせた。「まだ終わりじゃないぞ!」。指揮官の視線の先には足の止まりそうな松中がいた。声が耳に入った瞬間、41歳ベテランは最後の燃料を燃やし、再加速し、2600メートルを記録。2700メートルを走り、目標達成の摂津には「俺は43歳の時、2850メートル走ったよ」ともっと上を目指せと言った。12分以内に2500メートル以上を走る過酷なトレーニング。日本人選手では細川、育成選手の白根の2人が脱落し、追試となった。キャンプ初日から限界へと挑戦させたのは、ただ足腰を鍛えるだけではない理由があったからだ。

 筑波大の大学院でスポーツ医学を学び、故障予防への知識と意識は誰よりも高い。「(12分間走は)心肺機能を上げる。そうすれば毛細血管が増え、肉離れなど起きにくい。回復力も早まる」と理由を明快に説明した。

 ケガ人を最小限に抑える試みは、ウオーミングアップでも見られた。午前10時から午前11時20分まで昨年より20分長い80分を費やし、直線の動きだけではなく、切り返し、ターン、ひねり、ヨガの動作も取り入れた。「使っていない筋肉を急に使えばケガにつながる」。ブルペンではピッチの早い投手陣に「球数は抑えてくれ」とブレーキをかけた。球団史上初となる日本一連覇へはまずは故障の防止。徹底した体調管理の方針を打ち出した。

 午前8時49分に球場へ入り、終わったのは午後5時43分。トータル8時間54分の熱のこもった指導だった。「あっという間だったね」と空腹も感じないほど、工藤監督の表情は充実したものだった。

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