京大くん“0.8秒考える”投法 左足でためつくりチェック

[ 2015年1月19日 05:30 ]

プロ初のブルペンで、投げる前に左足でためをつくるフォームを披露した田中

 ミットを叩くボールは勢いがあった。ダイナミックに腕を振り、捕手を立たせたまま投じた25球。カーブも4球交えたプロ初のブルペン投球を、ロッテドラフト2位の田中は「60点。それ以下だと単位がもらえませんから」と自己採点した。

 真骨頂は左足を上げた瞬間にあった。手動のストップウオッチで0・8~1・3秒ほど静止。その間、目で左足の膝や靴先を素早くチェックする。投げ急ぐ癖を修正するため「今、重点的にやっている」と説明した。静止する理由を「体が前に突っ込まないよう体重を乗せてから投げる」と解説。0・8秒の「間」に現役京大生らしい考える投球が詰まっていた。

 その創意工夫が1メートル80、75キロと決して恵まれていない体から最速149キロの直球を生み出してきた。受けたドラフト4位の寺嶋(創価大)は「ガンガン来る。差し込まれた」と舌を巻いた。静止した状態から繰り出す速球は身体能力のたまもの。この日測定した反復横跳びは20秒間に驚異の80回で新人1位。文科省の掲げる男性の最高段階が63回以上で、ドラフト1位の内野手・中村(早大)でさえ72回だからそのバネの強じんさが分かる。

 視察した青山2軍監督も「京大というイメージだけで見たら腕の振りもいい。大卒2位で獲っただけの力はある」と絶賛。その細い体の線としなやかさから西武・岸と比べられるが「それぐらいになってもらいたい」と期待を口にした。

 「良い球も悪い球もあったが、最初なんでこんなもの。ある程度投げられるのが分かってよかった」。新人合同自主トレ中、大学の担当教授に卒論の相談をしたところ「今は野球でいい」と言ってもらったという。京大生初の挑戦はまた一歩前進した。

続きを表示

この記事のフォト

2015年1月19日のニュース