DeNAドラ5山下幸 家族の絆を胸に「40歳まで現役」宣言

[ 2015年1月10日 12:15 ]

3キロ走でドラフト1位・山崎康(左)を周回遅れにするDeNA・ドラフト5位の山下幸

15年版球界新士録 DeNAドラフト5位・山下幸輝内野手

 この日スタートした合同自主トレで、一番の輝きを放ったのがDeNAドラフト5位の山下幸だった。内野ノックで軽快な動きを披露すると、3キロ走では新人トップの12分36秒。中畑監督も「動きがシャープで切れがある。(遊撃の定位置争いで)山崎(憲)の一番のライバルになるかも」と目を細めた。

 常に笑顔を絶やさず、「いつも楽しそうだね」と周囲に言われるが、つらい過去を乗り越えたから今がある。小学6年の夏だった。「プロ野球選手になる」と約束した母・春代さん(享年42)が山下幸の試合観戦へ来た際に、くも膜下出血で倒れて亡くなった。

 高校入学時は1メートル68、53キロ。「体が小さいし、打てないから犠打だけしていたほうがいい」と指導者に言われたこともあったが、「つらい時は母を思い出した」と野球に打ち込んだ。体重68キロと肉体改造した3年夏に甲子園で打率・561、2本塁打。大学時代は木製バットに最初は打球が外野の定位置を越えなかったが、4年春の亜大戦では0―0の延長10回に同期入団のドラフト1位・山崎康からサヨナラ満塁弾。努力で運命を切り開いた。入寮日の1月7日、兄・和輝さん、姉・実穂さんが握手するためだけに実家へ見送りに来てくれた。「育ててくれた父(昌和さん)もそう。支えてくれる家族がいるから頑張れる」。

 実は個性的なツイッターが、指名後に話題を集めていた。カブトムシを「神」と名付けて飼育。手づかみで捕まえたゴキブリをペットボトルに入れてサプリメントを与えた。それらの書き込み、写真は入団が決まって全て削除した。「人間性を磨いて野球を頑張ります。40歳までプレーしたい」。天国の母、支えてくれた家族のため、俊足巧打で新たな目標へ突っ走る。

 ◆山下 幸輝(やました・こうき)1993年(平5)1月31日、千葉県君津市生まれの21歳。小1から野球を始め、君津中で君津シニアに所属。関東第一(東京)では「1番・二塁」で3年夏に同校25年ぶりの甲子園ベスト8に貢献。国学院大で1年春から三塁の定位置をつかみ、4年春にベストナインを獲得。東都リーグ1部通算打率・249、4本塁打。50メートル走6秒1、遠投120メートル。1メートル73、72キロ。右投げ左打ち。

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