大谷 “中0日”二刀流解禁へ 登板日前後も野手で出場

[ 2014年12月21日 06:28 ]

練習を終えてリラックスする大谷

 日本ハム・大谷翔平投手(20)が「二刀流」3年目を迎える来季に、投手として先発登板する前日、翌日にも野手として出場するプランが急浮上してきた。栗山英樹監督(53)が20日、「中0日」で起用する可能性に言及したもので、過去2年間では一度もなかった起用法となる。3年ぶりのV奪回へ、大谷がチームのここぞの「勝負どころ」で投打にフル稼働する。

 3年目を迎える来季の大谷の起用法。福岡県内で行われた球団関係者の結婚披露宴に出席した栗山監督は「あくまで体の状態を見極めてからになる」と前置きした上で、エースと主力打者の本格二刀流プランを示した。

 「今年は(野手として)試合に2日出たら(投手として調整するため)2日休むを繰り返した。中0日はどこかで1回試すかもしれない。今季は一度もできなかったが来年はいけるかもしれない」

 今季、日本プロ野球史上初めて同一シーズンでの2桁勝利と2桁本塁打を達成した大谷。先発登板する前後に野手としての出場が可能となれば、戦力として、その大きさは計り知れない。

 今季の大谷は、先発の2日前から投手としての調整に専念することを基本としてきた。野手で出場から中1日でマウンドに上がったのはポストシーズンでの1試合だけ。中0日での「野手→投手」は一度もなかった。逆も同じだ。「投手→野手」での中1日は代打起用も含めると10試合あるが、中0日だけは指揮官も「禁じ手」としてきた。あと1勝で日本シリーズ進出というソフトバンクとのCSファイナル第6戦でも、第5戦に先発登板した大谷を出場させることはなかった。全ては「二刀流」という異例の挑戦をする中、大谷をオーバーワークで故障させないためだった。

 しかし、体幹を中心とした筋力トレーニングでこの2年間で体重は86キロから93キロまで増え、入団時に仕立てたスーツが着られなくなるほど体は大きくなった。投手としては自己最速の162キロをマークし、打者ではボールを捉える瞬間に軸となる左脚の膝が曲がらなくなった。栗山監督は来季の打者・大谷について「規定打席はいかなくても25~30本塁打」と期待し、理想のモデルとして松井秀喜氏の名前を挙げる。2年目の本塁打数は松井氏の20本に及ばなかったが、本塁打1本にかかる打席数を比較すると、松井氏が約28打席を要したのに対し、大谷は約23打席と量産ペースでは上回っていたのだ。

 「(中0日は)キャンプ中にトレーニングのつもりで試すか、シーズン中に調子のいいときにやってみるとか、考え方はいろいろある」と指揮官。もちろん、若武者の負担を考慮すれば、シーズン中にそう何度もできる起用法ではない。「イメージは日本シリーズ。(大谷が)7試合に全部出場できるかどうか、というところだよ」。基本はチームにとって天下分け目の戦いでの「ウルトラC」だが、来季の大谷が投打でフル稼働すればするほど既存の野球観をさらに覆していくことになる。

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2014年12月21日のニュース