金子 今オフメジャー断念「ポスティングしない」争奪戦激化へ

[ 2014年11月25日 05:30 ]

ファンフェスタの冒頭、ファンとハイタッチでグラウンドに登場する金子

 オリックスの金子千尋投手(31)が24日、来季のメジャー移籍を断念した。京セラドームでのイベント参加後に、今オフにポスティング・システムを利用してのメジャー挑戦はしないと明言。金子はすでに、国内フリーエージェント(FA)権を行使しており、今後はオリックス残留を含め、国内球団による争奪戦に発展する。沢村賞右腕の動向が注目される。

 ファン感謝イベントが終わった直後だった。金子が重い決断を宣言した。

 「今オフの、ポスティングはしない方向で考えています」

 メジャー志向を明言し、進路の最有力候補とみられたメジャー移籍について、自ら断念を表明。理由については「いろいろある。全てが決まったわけじゃないから答えづらい」と明言を避けた。

 海外FA権取得まであと1年あった金子が今オフ、メジャーに移籍するには所属球団のオリックスにポスティングを認めてもらう必要があった。しかし、オリックスの瀬戸山隆三球団本部長は、これまで球団として同制度の利用を認めないことを度々明言。同本部長は金子の代理人と21日に大阪市内で交渉していたが、金子は「(代理人に)気持ちは伝えていて、球団にも伝わっていると思う」と話し、これ以上、球団へ要請することを諦めたもようだ。

 ただ、メジャー志向が完全に消えたわけではない。「この先、どうなるかは分からない。今年以上に挑戦したい気持ちが出てくるかもしれない」。いずれメジャーに挑戦したいか、という問いには「はい」と即答した。

 金子は10月末のワールドシリーズ観戦後、ポスティング・システムによるメジャー挑戦が視野にあることを明らかにした上で、今月11日には国内FAの行使を表明。「全ての可能性を考えたい」と史上初の「併用」を見据え、日米42球団を選択肢にすることを視野に入れていた。だが、今回のメジャー断念で進路は国内に絞られた。注目される今後については「全ての可能性を考えると言ってきた。ポスティングをしなくなったからといって、オリックスしか交渉しないのはおかしい。今しか聞けないこともある」と明言。残留の可能性がある一方でソフトバンクや阪神、さらに中日、楽天などが獲得に乗り出す可能性がある。

 この日は、ファン感謝イベントに参加し、チームメートと談笑する姿もあった。「オリックスでしかやっていないし、オリックスでなければ今の自分があるか分からない」と、あらためて強い愛着を示した。現状の揺れる気持ちについては「人生が決まる場所かもしれない。今年も来年もきちんと考えて、自分が納得するように決められたら」。今季16勝を挙げた沢村賞投手の争奪戦が幕を開けた。

 ▽新ポスティング・システム 昨オフから日米間で適用。日本人選手がメジャー球団へ移籍を希望する場合、国内の所属球団が2000万ドル(約23億6000万円)を上限に、あらかじめ譲渡金を設定。この額を支払う意思のあるメジャーの全球団が30日間、年俸などの契約条件を選手サイドと交渉。譲渡金は球団に支払われる。

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