吉井氏“二刀流”大学院生コーチに…クイック革命で連覇貢献を

[ 2014年11月20日 07:18 ]

澄み切った青空の下、ファンにサインする吉井コーチ

 “大学院生コーチ”の誕生だ。ソフトバンク・吉井理人1軍投手コーチ(49)が19日、秋季キャンプが行われている宮崎・生目の杜運動公園で就任会見に臨み、現在籍を置いている筑波大学大学院生と投手コーチとの“二刀流”を宣言。来季、プロ野球の生きた素材を基にクイック投法の解析に関する修士論文を書き上げる構想を披露した。

 学術的なアプローチからの新たなコーチングスタイルが生まれそうだ。「習ったことを実践するいい機会だと思ってコーチを引き受けることにしました」。今年4月に入学した筑波大学大学院の野球コーチング論研究室で学んだ理論を日本の最高峰・プロ野球界で試せるチャンスは簡単には手にできない。工藤監督からキャンパス内でコーチ就任の誘いを受けた当初は乗り気でなかったが、すぐに気持ちは変化したという。

 「例えば、クイックをどう投げろと教えられましたか」。吉井コーチは具体的な話で説明を始めた。「早く投げろ、と言われただけでしょ。プロでも同じですよ」。

 現役時代は近鉄、ヤクルトのほかメッツで活躍するなど日米通算121勝をマーク。08~12年には日本ハムで投手コーチを務めた。今春からは、工藤新監督と同じく筑波大大学院に通い、トレーニング法などを研究するなど経験も豊富。クイックモーションの始動のやり方を言葉で論理的に教えるのは易しいことではない。従来あいまいな教え方だったのを言葉できちんと伝えたいというのが吉井コーチの目指すところだ。

 大学院修士課程に必要な30単位のうち、すでに27単位はメドが立っている。残り3単位は修士論文。来年、生きた素材でデータの裏付けを織り込んだ修士論文を完成させれば、晴れて修士号を取得することになる。来年1月末までは学業に専念し、2月のキャンプイン以降は“二足のわらじ”となるが、両立は十分可能だ。工藤監督から「現役を終えた後にいい指導者になれるように指導してほしい」と頼まれたのも吉井コーチのキャリアを考慮に入れてこそ。

 クイックモーションの研究対象として五十嵐といううってつけの選手もいる。さらに研究の成果を選手に還元すればレベルアップにもつながり一石二鳥。うまくいけば革新的なコーチングスタイルが確立されるかもしれない。 

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