大谷 遅球で江夏超え20歳4カ月勝利だ 日米野球最終戦初先発へ

[ 2014年11月18日 05:30 ]

笑顔でキャッチボールする大谷

 最強の緩急を生かして江夏超えだ。侍ジャパンの日本ハム・大谷翔平投手(20)が18日、最終戦となる日米野球第5戦(札幌ドーム)に先発する。この日は東京から札幌に移動。同市内の室内練習場で最終調整し、最速162キロの直球を生かすために、最も球速の遅いカーブを駆使してメジャーリーガーに挑む。全日本選抜として勝利投手となれば、20歳4カ月で68年江夏豊(阪神、20歳5カ月)を抜き、史上最年少勝利となる。

 札幌市内の室内練習場には5台のテレビカメラと約50人の報道陣が詰めかけた。日米野球の大トリを務める20歳右腕。集中力を高めるためにブルペン投球を撮影禁止にする措置が取られ、大谷は35球を投げた。直球、スライダー、カーブ、フォーク。メジャー球の感触をあらためて確かめた。

 「最後なんで何とか勝ちたい。札幌のファンも楽しみにしていると思う。自分の持っているものを出したい」。第1戦では8回に救援で侍デビューし、1イニングを3人で片付けた。全12球中10球が直球で、最速は159キロをマーク。しかし、先発では最速162キロの直球一本というわけにはいかない。前日の第4戦では同じ20歳の藤浪が最速157キロで力勝負を挑んだが、モーノーに一発を浴びて4回4失点。侍ジャパンは初黒星を喫し、大谷も「藤浪はいい球を投げていたが、メジャーのスイングの強さを感じた」と驚いた。

 勝つための戦略は何か。「使える球種は全部使う」と言い、直球と並んで最大の武器として使うのが、球速の最も遅いカーブだ。110キロ台で直球との球速差は50キロ近い。11勝を挙げた2年目の今季は1試合で10球以上投じるなどカウントを整える際に使う球種で、自らも「引き出しの一つ」と自信を持っている。

 侍ジャパンの初練習となった9日。大谷は縦に大きく割れるカーブを武器にするソフトバンク・武田に頼み込み、握り方と投げ方を伝授された。日米野球で使用するメジャー球は縫い目のヤマが低く、指先で切るスライダーの制球には苦しんでいるが「抜く球(カーブ)は影響しない」と自信を見せ、小久保監督も大リーグ選抜の打線対策として「速い球には強い印象。緩急をつければ、目先を狂わせることができる」と話す。

 大谷は最も警戒する打者にキューバ出身のプイグ(ドジャース)を挙げた。今季16本塁打の23歳で「身体能力が高くて、打撃を含めてトータルで素晴らしい。(対戦が)楽しみだし、何とか抑えたい」と目を輝かせた。全日本選抜として勝利投手となれば、20歳4カ月で68年の江夏豊の20歳5カ月を抜き、史上最年少勝利となる。高校3年時、メジャー挑戦と悩みながらも日本ハム入りを決断した。憧れの舞台でプレーする強打者を相手に、実力を測る絶好の機会。大谷は「持ち味だと思うので、そういうところも出して勝負したい」と直球へのこだわりも見せた。

 ≪勝利挙げれば江夏超え≫第5戦で侍ジャパンの先発を務める大谷は20歳4カ月。勝利を挙げれば、日米野球の日本チームでは66年巨人・堀内の18歳9カ月に次ぎ、同年巨人・高橋一と並ぶ年少2位タイ。単独チームを除いた全日本・日本代表では、68年に2勝した江夏の20歳5カ月より1カ月若い史上最年少勝利となる。

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