金子 日米42球団争奪戦!国内は中日、ソフトB、楽天が関心

[ 2014年11月12日 06:05 ]

FA権の行使を表明する金子

 プロ野球のフリーエージェント(FA)権行使の申請期間が11日で終了し、大リーグ移籍を視野に入れ、去就が注目されるオリックス・金子千尋投手(31)は今年取得した国内FA権行使の手続きを取った。来季の選択肢には国内他球団への移籍、オリックス残留のほか、ポスティング・システムによるメジャー挑戦がある。国内FA権を使いながら同システムの利用を視野に入れるのは史上初で、日米42球団による大争奪戦となる可能性も出てきた。国内では中日、楽天、ソフトバンクが獲得に乗り出すとみられる。

 日本球界を代表するエースが重い決断を下した。侍ジャパンの練習後、兵庫県西宮市内で金子は「かなり考えて悩んだ。その上での決断。全ての可能性を考えたいと思うので、こういう決断になった」と、国内FA権行使に至った理由を説明した。

 この日、午前7時半に意思を伝えられたというオリックスの瀬戸山隆三球団本部長は「ショックで残念だが、来季も一緒にやれるように引き続き、粘り強く交渉していきたい」と述べた。

 これまで「国内もメジャーも全ての可能性を考えていきたい」と話してきた金子は10月22日に渡米し、ワールドシリーズ第3戦を観戦。「昔からアメリカの球場の雰囲気には憧れていたが、あそこでやってみたい気持ちは実際見てみて、変わらなかった」と発言。メジャー移籍の場合に備え、代理人にダルビッシュ(レンジャーズ)らを顧客に持つアーン・テレム氏を最有力候補に選定するなど準備を着々と進めている。

 大リーグ移籍も視野に入れての国内FA権の行使。国内FAは所属先が決まるまではオリックスが保留権を持つため、球団は米球界移籍のためのポスティング・システムを申請できる。野球協約上の問題はなく、同制度をオリックスが容認すれば、国内FAと併用する史上初のケースとなり、日米42球団との交渉が可能。事実上は海外FAと変わらないことになる。瀬戸山本部長は、これまでの残留交渉で「ポスティングの話はしていない」とした一方、「FA宣言されたので、これからいろいろ(考えが)出てくるかもしれない」と含みを持たせた。

 今季16勝5敗、防御率1・98。最多勝と最優秀防御率の2冠で沢村賞にも輝いた右腕が国内FA権を行使したことを受け、国内球団も早速、呼応した。先発投手の補強が急務な中日の谷繁監督は「もちろん欲しい。本物のFA選手ですね。本物のFAが出たということ」と独特の表現で「参戦」を表明。ソフトバンク・三笠杉彦球団統括本部副本部長は「パ・リーグ一、12球団一の投手がFA市場に出てきたとなれば当然、前向きに検討する。指をくわえて見ていることはない」と強い関心を示した。絶対エースの田中が昨オフにヤンキースに移籍した楽天も獲得に乗り出すことが決定的だ。

 14日の日米野球第2戦(東京ドーム)に先発予定の金子は「今はまずそこに集中したい。中途半端な気持ちで試合に投げたくないので。それが終わってから、あらためてしっかり考えたい」と結んだ。前例のない状況に、右腕がどんな意思を表明し、オリックスがどう対処するのか。早ければ21日にも、金子がまずは国内かメジャーか二者択一の決断を下す。

 ◆金子 千尋(かねこ・ちひろ)1983年(昭58)11月8日、新潟県三条市生まれの31歳。長野商で2年時にセンバツに出場し、2回戦敗退。02年にトヨタ自動車に入り、04年に都市対抗に出場。04年のドラフト自由獲得枠でオリックスに入団。10年に初めて最多勝に輝き、昨季は200奪三振で最多奪三振、今季は4年ぶりの最多勝と最優秀防御率を獲得。1メートル80、77キロ。右投げ左打ち。

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